国内

60代女性記者が考えた、私の中で入れ替わり立ち替わり出入りする「女と男」

どう考えるのか

オバ記者が綴る“私の中の女”

 体験取材を得意とする『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子氏が、世間で話題になっていることに自由な意見を発信する。今回は“私の中の女”に関するお話です。

 * * *
 女のくせに。女だてらに。女なんだから。女らしくしろ。女っぽくなったね。女を売りにしている。女女している。──いやいや、あるわあるわ。この中で「女」を「男」に置き換えても意味が通るのは──男のくせに。男なんだから。男らしくしろ、とグッと少なくなる。

 てことは、この世は女が嫌いな人が作ったのかしら?

 ここのところ、「LGBT法案」について報道されていて、私も友達から「どう思う?」と聞かれる。そこであらためて、「私の中の女」について考えてみたんだわ。

 というのも昨秋、「卵巣がんの疑い」で入院・手術をしたんだよね。最終的に「境界悪性腫瘍」という病名に落ち着いたんだけれど、子宮と卵巣という女にしかない器官を失っている。女でなくなったのかな、なんて思ったりするんだけど、そういえば、50才で閉経したときも「女でなくなった」と口の悪い友人から言われたっけ。でも、「女」ってそう何回もなくすものなの?(笑い) てかさ、女って何?

 でね、最初に並べた「女」関連の言葉で、私がもっともイヤなのは「女っぽくなったね」なの。身震いするくらいイヤ。

 それにはワケがあるの。まず10代の初め、ペタンコだった胸が小さく膨らんできたときの気色悪さといったらなかったのよね。学校では「話し合い」だとか「自分の意見を述べよう」だとか、“頭を使え”的なことを教わっているのに、私の意思とは関係なく体の形が変わる。何だよ、これは!!

 で、私は荒れた。特に家で荒れた。というのも私の実父は早世していて、家に同居しているのは母親より6才年下の再婚相手(当時35才)だ。義父に何をされたわけではないけれど、家にいるだけで、お風呂からブラブラされて出てくるだけで、私の危機管理能力はフル稼働した。

 私が女っぽくなったらどうなるかと、言葉ではなく本能が騒ぐのよ。「ヒロコは素直じゃない」と言われれば、「素直ってことはオレの言うことを聞けということか」と勝手に解釈して、とにかく家の中に波風を立たせておかないと気が休まらなくなった。

 その頃、親戚のおじさんが「おぅ、だんだん女の体になってきたな」と言ったときのあの下卑た顔は忘れられない。殺そうと思ったもの。おじさんはその数年後に病死したけれど、「バチが当たった」と思ったわよ。

 男になりたい。中2の私はそう願ったんだよね。そのせいでもないだろうけど、スカートより男子用のズボンを好んではいていた私は、その1年間で身長が12cm伸びたの。ところがよ。その頃、好きな男の子ができたら、あら不思議。いつの間にかズボンはやめて、ひだ付きスカートに寝押しが欠かせなくなった。髪を伸ばしてリボンなんかつけちゃって。いつの間にか私は女である自分に折り合いをつけたんだね。

 しかし、一度でも男になりたいと願った私は、体のどこかに「男」が残ったのかもしれない。高校生のとき、自転車を追い抜きざまに「なんだ、女か」と言われたことが何度もある。広い肩幅でガニ股で自転車をこいでいたから男に見えたのかも、とそのときは思ったの。

関連キーワード

関連記事

トピックス

石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情
(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト
盟友・市川猿之助(左)へ三谷幸喜氏からのエールか(時事通信フォト)
三谷幸喜氏から盟友・市川猿之助へのエールか 新作「三谷かぶき」の最後に猿之助が好きな曲『POP STAR』で出演者が踊った意味を深読みする
週刊ポスト
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
NEWSポストセブン