国内

作家・甘糟りり子氏、『報道ステ』全仏オープンを2日連続トップ扱いに疑問 「他に優先すべきニュースがあるのではないか」 

“もの言うキャスター”として人気を得た大越健介氏(写真/共同通信社)

『報道ステーション』のキャスターを務める大越健介氏(写真/共同通信社)

 テレビでは多くの報道番組が、さまざまなニュースを伝えている。どのニュースにどれぐらいの時間を割き、どう伝えるかはその報道番組の方針が色濃く反映されるが、作家の甘糟りり子氏は最近『報道ステーション』(テレビ朝日系)のニュースの選び方に疑問を持ったという。甘糟氏が自身の見解を綴る。

 * * *
『報道ステーション』の6月8日木曜と9日金曜の放送は、トップでテニスの全仏オープンを取り上げていた。テニスのグランドスラムを観るためにWOWOWに加入するぐらいにはテニス好きの私でも、これには驚いた。他に報道すべきことがいろいろあったのではないかと思った。

 確かに、全仏オープンのニュースは単なる試合の結果ではない。日本の加藤未唯選手は現地時間の4 日に行われた女子ダブルス3回戦の試合中、ボールガールにボールを渡そうとした際、そのボールがダイレクトで彼女の首辺りに当たり、これが危険行為を見なされ失格した。当初は審判による「警告」だったが、相手ペアの執拗な抗議により、主催者がコートに現れ、動画確認などしないまま「失格」を宣告した。これには批判の声が相次いだ。

 現地時間8日にはミックスダブルスの決勝戦に出場し、見事に優勝した。普段は観客の少ないミックスダブルスの試合にもそこそこ観客が集まっていたから、現地でも注目された「事件」だったのだろう。日本選手が逆境を乗り越え、優勝を果たしたのだから、たとえシングルスではなくとも大きく報道するのはわかる。しかし、9日夜の『報道ステーション』は、試合結果の後、関係者たちのインタビューやらなんやらで冒頭からかなりの時間を割いていた。

 9日には、参議院本会議で出入国管理法の改正案が審議され、可決・成立された。これによって、たとえ難民申請中の人でも強制送還が可能になる。れいわ新撰組代表・山本太郎氏は改正案に反対。会議では、委員長席に詰め寄ろうとする山本代表に自民党の議員が多数で取り囲み、掴み合いになった。自民党議員の一人が「怪我をした」と主張し、山本代表には自民党などから参院に懲罰動機が提出された。Twitterで見た動画では、暴力行為には私には見えなかったのだが。

 全仏オープンのミックスダブル優勝は、これよりも優先すべきニュースなのだろうか。テニス好きとしては、木曜夜には「全仏オープンがトップになったー! ヤター!」と浮かれていたのだが、金曜夜の同番組を見て、不安になった。もっと他に知らなければならないことが後回しにされているのではないかと感じた。

 出入国管理法の改正案だけでない。マイナンバーカード関連では毎日何かしら問題が起きている。検索してみると、9日には、希望していない保険証機能が勝手に登録された事例があったし、総務省が別人へのポイント付与や登録のミスが133自治体で173件あったと発表している。河野太郎氏は、自分自身を処分すると発言したり、「総務省には朝3時、4時まで残業している職員もいる」と逆ギレしたのも9日だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
19歳の時に性別適合手術を受けたタレント・はるな愛(時事通信フォト)
《私たちは女じゃない》性別適合手術から35年のタレント・はるな愛、親には“相談しない”⋯初めての術例に挑む執刀医に体を託して切り拓いた人生
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左・共同通信)
《熊による本格的な人間領域への侵攻》「人間をナメ切っている」“アーバン熊2.0”が「住宅街は安全でエサ(人間)がいっぱい」と知ってしまったワケ 
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン