女優・広末涼子(左/時事通信フォト)とフレンチレストラン「sio(シオ)」のオーナーシェフ・鳥羽周作氏(右/Twitterより)
今や昭和は遠い昔、平成も過ぎ去り、令和の現在、大衆も良識を持ち始めた。芸能人や有名人だって当たり前だが人権も気持ちもある。彼ら彼女らの失態やスキャンダルを娯楽として消費する権利は誰にもない。その反面、 SNSで何かやらかせば、たとえ市井の人でも「有名税」がどかんとくるわけだけれど。
夫の会見での「私生活暴露」に疑問
キャンドル・ジュンさんの記者会見もまた、時代が変わったことを感じさせるものだった。壇上には椅子が二脚用意してあり、質問者はキャンドル・ジュンさんの向かいに座って、いわば対談形式で質問する。かつての、芸能レポーターにぐるりと取り囲まれたり、一対大勢で集中砲火を浴びせたり、という図式には成りようがない。質問する方も、自ずと発言や質問内容に慎重になる。その上、受付が本人で後片付けも本人。有名俳優の不倫に関する記者会見というより、手作りのセミナーか何かのようでもあった。
このスタイルでの記者会見を考えたアイデアはすばらしいし、キャンドル・ジュンさんの苦悩も伝わってきたが、広末さんの私生活をここまで暴いてしまっていいの?という疑問は残った。ラブレターを公開され、パートナーには情緒不安定であることをバラされ、彼女は今どんな気持ちでいるのだろうか。「過度なプレッシャーがかかると、濃い化粧をして派手な格好をして〜心が収まらず、豹変してしまう」というような発言があったけれど、厚化粧や派手な格好がまるでいけないことみたいである。別にいいではないか。それで心が解放されるなら。人前で演じる、歌を歌う、映画を撮る、絵を描く、音楽を作る、文章を書くといった自分の心の芯を差し出す仕事を続けていれば、多かれ少なかれ、情緒が安定しない時は必ずあると思う。誤解を恐れずにいえば、その振り幅が大きいのはそれだけ集中しているからではないだろうか。