庶民的な価格帯の居酒屋チェーンも正月には豪華「おせち料理」を販売していた(イメージ)
社会問題として取り上げられた影響もあるのか、現在コンビニでアルバイトをしている50代の女性に話を聞くと「うちの店は(いまは)ない」とのことだった。彼女いわく、
「だって、そんなことしたらみんな辞めちゃうし、ただでさえバイトに来てくれる人がいないのに、昔のやり方はできないでしょう」
とのこと。もちろん地域や店の方針にもよるだろうが、基本的にコンビニ本部も自爆営業を強いることはない、としている。ただしコンビニによっては本部からの仕入れにより、いまだに「オーナーが泣いて」「社員が泣いて」自爆営業は消滅していない。それどころか、やはりネット上を中心に自爆営業を強いられた、強いられるといった声は根強い。
自爆営業があっても仕事が欲しかった
これまでも繰り返し自爆営業が社会問題として取り上げられてきたが、多少の増減はあれ、過酷であっても働く人は途切れない時代があった。実際に何度も社会問題となり、とくに2000年代から2010年代に幾度となく、日本郵政の自爆営業の理不尽と過酷さが報じられた。金券ショップに自爆買いした年賀はがきを売りに行く郵便局員、というニュースは一時期、毎年の風物詩のように報じられた。
年賀状以外にも「かもめーる」、ふるさと小包、夏ギフト、お中元、お歳暮と、局員がひたすら自爆買いをさせられてきた史実がある。なぜ、そんな厳しい労働環境でも働いていたのか。
当時の「ゆうメイト」(※有期労働契約の社員の呼称)に話を聞く。彼もまた40代。
「2000年代です。ひどいものでしたよ。少ない時給の中から自爆で買わされて、買わなきゃ(習熟度の)ランクを上げないとか、(雇用契約を)更新しないとか、そんな脅迫は普通でした。昔の話ですけど、だからいまは違いますって、なんだか釈然としません」
詳しい話は本旨ではないため置くが、彼はいま別の業界の正社員でしっかり働いている。しかし当時は非正規を転々としたと話す。
「足元を見られていたと思います。就職難で非正規やるしかありませんでした。そんな同年代がたくさんいた。ゆうメイトだって地域や局にもよるのでしょうが狭き門でした。自爆営業があっても仕事が欲しかった。あんな時代は二度とごめんです」
