ビジネス

コンビニのアルバイトにも強いられる「自爆営業」 空前の人手不足の裏

アルバイトにも「自腹で購入」を要求された(イメージ)

アルバイトにも「自腹で購入」を要求された(イメージ)

 みずから爆発を起こして防御や攻撃する「自爆」は、自分にも甚大な被害をもたらすことから、通常は忌避されるものだ。ところが日本では自爆を推奨するような働き方、自腹で自社商品の購入を強いる職場が存在している。働く人が足りないと日本全国で言われているのに、労働者を追いつめる悪習がなくならず、人手不足になっても、なぜ止まないのか。俳人で著作家の日野百草氏が、様々な職場での自爆を求める労働体験と現在を聞いた。

 * * *
「パンを買わされます。食パンです。そんなに何本も食べられるわけでもないのに」

 全国に数多く展開する高級食パンの店、数多くのチェーン店やフランチャイズがしのぎを削るが、過当競争と流行り廃りによって苦戦している店舗も報じられるようになった。そして、そこではアルバイトに対する自爆営業、食パンの買い取りの強要まで行われていたと元アルバイトの女性が話す。

「少しくらいなら買ってもいいですけど、何本も食べません。それにだんだんエスカレートしてきて、なんのために働いているのかわからなくなり、怖くて辞めました」

 高級食パンと銘打つだけに高価だ。それに「何本も食べられない」はその通りだろう。そもそも明らかな労働基準法違反だが、一部とはいえ高級食パンに限らず横行するのは「強要」ではなく「勧誘」であり、「自由意志」であるとすれば違法かどうかはグレーとなる。残念ながら、よほど悪質でなければ労働基準監督署も動かない、動いても逆に店に居づらくなるのが現場の現実だ。だからこの国から「自爆営業」はなくならない。

 彼女が辞めてほどなく、その高級食パンの店は潰れたと話す。

自腹で買わせていたらバイトが来なくなった

 自爆営業といえばコンビニエンスストア、かつては社会問題ともなった。

「恵方巻だ、クリスマスケーキだと散々買わされました。いい思い出ではないですね」

 学生時代にコンビニでアルバイトをした経験のある40代男性が語る。ごく短い間とはいえコンビニのバイトであまり良い思い出はないとのこと。その原因こそ、自爆営業だ。

「恵方巻とかクリスマスケーキとか、いまもやらされているのでしょうか。ネットの噂ばかりですけど」

 こうした自爆営業は匿名掲示板の時代から盛んに書き込まれていたように思う。

関連記事

トピックス

実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン