ライフ

男性美容が再びの盛り上がり、コロナ規制解除きっかけ、メンズ韓国コスメにも関心

男性も美容に関心(写真はイメージ)

男性も美容に関心(写真はイメージ)

 コロナの流行でいったん低下した男性の美容への関心が復活しつつあるようだ。コロナによる規制の影響を受けていた日本の男性美容市場が、規制緩和後、再び成長の兆しを見せていることが、矢野経済研究所の2023年6月発表の予測で明らかになった。

男性も韓国コスメ

 矢野経済研究所によると、男性の美容市場は20年度はコロナによる活動制限により減少したが、再び増加している。2021年度の市場規模は2025億2000万円で前年比102.1%となった。今後も成長トレンドを保ち、2022年度は2100億8000万円(前年度比103.7%)、23年度は2158億円(前年度比102.7%)に達すると、同研究所は予想している。

※調査において男性美容市場に含んでいるのは、化粧品、エステ、理美容家電、ウェットシェービング、進化系理容室の5つの領域。なお、同研究所によると、進化系理容室とは、理容師免許を持つスタイリストが提供するサロンで、男性をターゲットにしたバーバー運営事業者のこと。カットやシェービングだけではなく、フェイシャルメニューやネイルケアなども行う。

 男性美容市場で強い存在感を示しているのは男性用化粧品だという。従来、美容に関心の高い若い男性が主な消費者だったが、コロナの影響を受けて状況が変化した。中高年層の男性が化粧品を使用するようになり、化粧品の認知度や使用率が高まっている。男性用化粧品市場は、百貨店やバラエティショップの売り場の拡大、ECサイトの特集ページなどで認知度を高めてきた。

 一方で、マスクによる肌トラブル、ソーシャルメディアや有名人の影響などから、若い人たちの中でスキンケア習慣が広がっているという。
 さらに、韓国コスメへの男性の興味関心も高まる。男性ファッション誌で韓国コスメが特集され、韓国の男性用化粧品ブランドの日本市場への参入も進む。選択肢はさらに多様化している。

オンラインミーティングが大きなきっかけ

 このような変化は、オンラインミーティングの影響も大きいようだ。オンラインミーティングでは、参加者の姿が画面に映され、自分自身の姿を見る機会が増えた。男性は身だしなみやヘアケア、スキンケアへの意識が高まったという。

 ヒフコNEWでも、コロナが女性の美容に影響を与えていることを伝えた。ここで紹介したのと同様に、オンラインで自分自身の姿を見る機会が増えたことで、見た目を気にするようになるというものだった。また、SNSの影響によって、韓国美容への関心が高まったことも、美容に影響を与えたと紹介した。男性でも同様にコロナでの生活やSNSなどが美容に影響を与えていると見られる。

 今回の美容市場の調査では、美容医療は含んでいないが、男性の美容意識の高まりは、美容医療への関心にもつながって不思議はない。今は美容医療を利用するのは女性が中心ではあるものの、今後はもっと男性向けの美容医療が広がりを見せる可能性はあるだろう。

 もっとも、最近、男性専用の医療脱毛「ウルフクリニック」が突然閉鎖され、運営に関与する企業が破産手続きを開始するという異常事態に至っている。これは医療脱毛の競争が激しくなっていることや、この医療脱毛クリニック特有の問題を抱えていたことなどが影響したものと推測される。

 男性の美容が盛り上がるにしても、男性の利用者に被害が出ない、安全で安心なものになることが望まれる。

参考文献

男性向け美容製品・サービスに関する調査を実施(2023年)

コロナ・パンデミックが世界の美容を変えた、その背景に韓国美容のトレンド

「求める理想像に変化 SNS上の加工画像が『なりたい顔』」

ウルフクリニック「経営関与の会社」破産へ、美容医療の信頼性に懸念抱かせかねない問題

医療脱毛クリニック突然閉院、SNSで嘆きの声、相談窓口の設置も

男性専門医療脱毛ウルフクリニック閉鎖で、救済の動きが広がる

エステ市場3年連続縮小、男性市場拡大するも脱毛倒産響く、矢野経済研究所調べ

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

ヒフコNEWS

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

関連キーワード

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
《不動産投資会社レーサム元会長・注目の裁判始まる》違法薬物使用は「大きなストレスで…」と反省も女性に対する不同意性交致傷容疑は「やっていない」
NEWSポストセブン
女優・福田沙紀さんにデビューから現在のワークスタイルについてインタビュー
《いじめっ子役演じてブログに“私”を責める書き込み》女優・福田沙紀が明かしたトラウマ、誹謗中傷に強がった過去も「16歳の私は受け止められなかった」
NEWSポストセブン
告示日前、安野貴博氏(左)と峰島侑也氏(右)が新宿駅前で実施した街頭演説(2025年6月写真撮影:小川裕夫)
《たった一言で会場の空気を一変》「チームみらい」の躍進を支えた安野貴博氏の妻 演説会では会場後方から急にマイクを握り「チームみらいの欠点は…」
NEWSポストセブン
中国の人気芸能人、張芸洋被告の死刑が執行された(weibo/baidu)
《中国の人気芸能人(34)の死刑が執行されていた》16歳の恋人を殺害…7か月後に死刑が判明するも出演映画が公開されていた 「ダブルスタンダードでは?」の声も
NEWSポストセブン
13日目に会場を訪れた大村さん
名古屋場所の溜席に93歳、大村崑さんが再び 大の里の苦戦に「気の毒なのは懸賞金の数」と目の前の光景を語る 土俵下まで突き飛ばされた新横綱がすぐ側に迫る一幕も
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(右・時事通信フォト)
「言いふらしている方は1人、見当がついています」田久保真紀氏が語った証書問題「チラ見せとは思わない」 再選挙にも意欲《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
「結婚前から領収書に同じマンション名が…」「今でいう匂わせ」参政党・さや氏と年上音楽家夫の“蜜月”と “熱烈プロデュース”《地元ライブハウス関係者が証言》
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(共同通信/HPより)
《伊東市・田久保市長が独占告白1時間》「金庫で厳重保管。記録も写メもない」「ただのゴシップネタ」本人が語る“卒業証書”提出拒否の理由
NEWSポストセブン
7月6~13日にモンゴルを訪問された天皇皇后両陛下(時事通信フォト)
《国会議員がそこに立っちゃダメだろ》天皇皇后両陛下「モンゴルご訪問」渦中に河野太郎氏があり得ない行動を連発 雅子さまに向けてフラッシュライトも
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、経世論研究所の三橋貴明所長(時事通信フォト)
参政党・さや氏が“メガネ”でアピールする経済評論家への“信頼”「さやさんは見目麗しいけど、頭の中が『三橋貴明』だからね!」《三橋氏は抗議デモ女性に体当たりも》
NEWSポストセブン
かりゆしウェアをお召しになる愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《那須ご静養で再び》愛子さま、ブルーのかりゆしワンピースで見せた透明感 沖縄でお召しになった時との共通点 
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏(共同通信)
《“保守サーの姫”は既婚者だった》参政党・さや氏、好きな男性のタイプは「便利な人」…結婚相手は自身をプロデュースした大物音楽家
NEWSポストセブン