国内

コロナ禍で増えた無人販売店で窃盗続出 容疑者が逮捕されても近隣住民の苦悩は続く

農産物の無人販売は以前から存在した(イメージ、時事通信フォト)

農産物の無人販売は以前から存在した(イメージ、時事通信フォト)

 日本の治安はよいと言われており、「治安に関する世論調査」(内閣府・令和3年度)の調査結果を見ても、現在の日本が、治安がよく、安全で安心して暮らせる国だと思うか聞いたところ、「そう思う」とする者の割合が 85.1%にのぼっている。その安心が、いたるところに自動販売機設置を可能にし、無人販売も成立させてきた。ところが最近、新型コロナウイルス対策で拡大した無人販売での盗難や窃盗が相次いでいる。容疑者が逮捕されれば地域住民も安心して暮らせるのかというと、どうやらそうはいかないらしい。ライターの宮添優氏が、事件の被害者にはなっていないが、安心して暮らせなくなったと嘆く地域住民の嘆きを聞いた。

 * * *

「何を言っても”こっちは被害者”の一点張り。テレビ局が何社も大挙してやってきたり、毎週のようにサイレンを鳴らしたパトカーがやってきます。もう引っ越しを考えるしかないほど追い詰められています。私だけじゃなく、不安な住民は他にもたくさんいます」

 憔悴しきった様子で筆者にこう訴えるのは、関西在住の主婦・本田泰子さん(仮名・50代)。本田さんが引っ越しを考えざるを得ないほど追い詰められたのは、自宅のすぐ裏手に冷凍食品などを販売する「無人販売店」がオープンしたことがきっかけだという。その場所はもともと古い飲食店だったが、コロナ禍の影響により閉店。その後、無人販売店になったのだ。

「オープン後は、便利なお店ができたと数回利用したこともありました。物珍しさで、お客さんも多かったと思います。ただ、無人だし商品を持ち去ることも容易そうで、お金を入れておくボックスもある。防犯カメラもあるけど、本当に大丈夫かなとも思いました。それからすぐ、やっぱり店舗に泥棒が入ったらしく、パトカーが何台もやってきた。数日後にはテレビニュースになっているのを見て、嫌な予感がしたんです」(本田さん)

 ニュースには、本田さん宅の裏手にある無人販売店の経営者という男性が登場。「許せない」「必ず犯人を捕まえる」と話し、さらに、店の外観を撮影した映像には、本田さんの自宅もしっかり映り込んでいたから、余計に気味が悪かったと振り返る。

夜な夜な、見物にやってくる人たちがいる

 無人販売店で起きた似たようなニュースは、筆者だけでなく多くの読者が目にしたことがあるだろう。中には、何度も泥棒に入られ、その都度テレビ取材を受けているような店舗もあり、たびたび類似のニュースが取り上げられるからか、日本国民の民度が下がっている、などと指摘するテレビコメンテーターもいるほどだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン