自宅で「正しい血圧」を測定する方法
前かがみで測っていないか
坂東医師によると、一般的に自宅で計測する家庭血圧のほうが実態に近い数値になるという。白衣高血圧に惑わされないためには、「家庭で正しく血圧を測定する」ことが重要だ。
「朝なら起床1時間以内、排尿または排便後、朝食前に測定します。ただし、測定前に朝のゴミ捨てや庭の草取りなどほかの活動をしてはいけません。血圧が高く出る傾向があります。夜なら就寝前の排尿後。いずれの場合も、静かで適切な室温環境のもと、背もたれのある椅子に座って1~2分の安静後に測定します」(同前)
血圧計は誤差が少ない上腕式を使い、左腕に巻いた腕帯を心臓の高さにし、血圧計に正面を向いた無理のない姿勢を保つ。前かがみや、床に正座の姿勢では数値が上がる傾向があるので注意したい(上図参照)。
正確に計測した数値が正常ならば、服薬などの治療を急ぐ必要はないし、薬を飲み始めている人もやめられる可能性がある。
坂東医師のもとには「降圧剤をやめたい」「減らしたい」という患者が全国から多く訪れているが、「正しいプロセスを踏めば、多くの高血圧患者は降圧剤を減量できる」という。その第一歩となるのが、前述の「正しい家庭血圧の測定」だ。
「家庭血圧が正しく測定できると、どのような生活習慣や環境で血圧が上昇するかが把握できるようになります。食事での塩分過多や心的ストレスなど、自分の血圧上昇の要因がわかれば、それを避けるための習慣もわかってきます」(同前)
坂東医師は、「血圧の数値だけを取り上げるのは危険だ」と強調する。
「血圧が正常より高い場合は、全身の診察をして高血圧に伴う合併症の有無を確認することが必須です。親族に高血圧に伴う疾患(脳出血や脳梗塞、解離性大動脈瘤など)があるかどうかを確認することも重要。ゆめゆめ、血圧の数値だけに囚われて治療方針を決めてはいけません」(同前)
そうした確認を重ね、家庭血圧が120台で維持できていれば、坂東医師は家庭血圧の継続測定は必要だが、「通院の必要なし」と患者に伝えるという。
