スポーツ

羽生結弦、敬愛するジョニー・ウィアーの引退にサプライズダンス 感動の舞台の裏で水を差す事件

13年の仲(ジョニー・ウィアーのインスタより)

13年の仲(ジョニー・ウィアーのインスタより)

 輝かしい成績だけがすべてではない──ジョニー・ウィアー(39才)のスケートを見ると、こう感じざるをえない。6月下旬、ジョニーが日本開催のアイスショーでプロ引退前の最後のスケーティングを披露し、ファンとの別れを惜しんだ。幼い頃から彼を「憧れの人」として尊敬してきた羽生結弦(28才)もまた万感の思いを込めて氷上に立った──。

 リンクに跪いたまま嗚咽が止まらない。感情が堰を切って漏れ出す。涙が頬を伝い続け、彼が手を差し伸べるまで、羽生結弦(28才)は立ち上がることができなかった──。6月25日に神戸ワールド記念ホールで開催された「ファンタジー・オン・アイス2023(以下、FaOI)」の最終公演で、羽生の様子は明らかに普段とは異なっていた。

「こんなに人目をはばからずに泣く彼を見たのは初めてです。よほど強い思いがあったのでしょうね」(フィギュアスケート関係者)

 彼が溢れ出る涙をそのままに真っ直ぐ見つめていたのは、この日を最後にプロスケーターを引退するアメリカのジョニー・ウィアー(以下ジョニー)だ。羽生が“ずっと好きで憧れていた選手”として名を挙げるひとりである。

「“もう人前では滑らない”と決断したジョニーは、自身の最後の舞台として、羽生さんが全公演出演する日本開催のアイスショー『FaOI』を選びました。ジョニーのスケートを敬愛し続けてきた羽生さんにとっては、光栄であると同時に、この上なく寂しいことだったのではないでしょうか」(前出・フィギュアスケート関係者)

 フィナーレでジョニーに大きな白いバラの花束を渡した羽生は、冒頭のようにリンクに跪き号泣した。立ち上がることができない羽生のもとにジョニーがゆっくりと近づくと、ふたりは熱い抱擁を交わす。名残が尽きないのか、羽生は観客に挨拶してリンクを去るジョニーをリンクサイドで待ち構え、再び強く抱き合った。だがこの感動的な舞台の裏では、“有終の美”に水を差すような、ある事件が起きていた。

《先日のジョニー・ウィアーの動画に不適切な表現がありました。ファンの皆様にはご不快な思いをさせてしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます》──最終公演の当日、FaOIの公式ツイッターに突如として謝罪文が投稿された。

 事の発端は前日の24日。FaOIの公式ツイッターに、今回のアイスショーを心待ちにするファンに向けて、ジョニーからのメッセージが公開された。生まれも育ちもアメリカである彼の母国語は英語である。動画には日本語訳が付いていたのだが、その訳し方に問題があったようだ。

《ファンタジー大好きなみんな ジョニー・ウィアーよ ここ神戸で最後の2公演を演じます チケットは全部売れちゃったみたいね 公演が始まるのが待ちきれないわ》

「いわゆる“女言葉”にすぐさまファンが反応し、SNSなどで抗議。それを受けてFaOIが該当動画のツイートを削除し、新たに翻訳を挿入した動画を公開するという騒ぎになりました。ジョニーはかねて同性愛者であることを公表しており、2011年には弁護士の男性と同性婚をしている(2014年に離婚)。しかし、彼の発言があまりにも画一的な女言葉で訳されていたことに違和感を覚えた人は少なくなかった。

 英語には日本語のように性差を直接表す言葉はあまりないので、ジョニー自身も不本意だったでしょう。最終公演日、そんな騒動への謝罪の意味もあったのか、羽生さんはある“サプライズダンス”を披露しました」(前出・フィギュアスケート関係者)

 そのダンスの詳細は後述するが、問題の翻訳について、翻訳家で文芸評論家の鴻巣友季子さんは「翻訳者は、イメージを鮮やかに伝えようと尽力したのだと思いますが……」と前置きした上で、こう指摘する。

「日本語は他言語と異なり、語尾が大きな役割を担っており、語尾ひとつで話し手と聞き手の関係性や、お互いのポジション、感情の機微などを伝えることができます。

 実際の女性のしゃべり方とは隔たりがある日本語の女言葉は、主に明治期に西洋語を翻訳する過程で発達したものといわれていますが、近年ではこういったステレオタイプな言葉は、翻訳ものが助長したという指摘があり、リアルさを求める風潮になっている背景があるのですが、それをあまり意識されなかったのかなと思います」

関連キーワード

関連記事

トピックス

「木下MAOクラブ」で体験レッスンで指導した浅田
村上佳菜子との確執報道はどこ吹く風…浅田真央がMAOリンクで見せた「満面の笑み」と「指導者としての手応え」 体験レッスンは子どもからも保護者からも大好評
NEWSポストセブン
石破首相と妻・佳子夫人(EPA=時事)
石破首相夫人の外交ファッションが“女子大生ワンピ”からアップデート 専門家は「華やかさ以前に“上品さ”と“TPOに合わせた格式”が必要」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ノックでも観客を沸かせた長嶋茂雄氏(写真/AFLO)
《巨人V9の真実》王貞治氏、広岡達朗氏、堀内恒夫氏ら元同僚が証言する“長嶋茂雄の勇姿”「チームの叱られ役だった」
週刊ポスト
中村芝翫の実家で、「別れた」はずのAさんの「誕生日会」が今年も開催された
「夜更けまで嬌声が…」中村芝翫、「別れた」愛人Aさんと“実家で誕生日パーティー”を開催…三田寛子をハラハラさせる「またくっついた疑惑」の実情
NEWSポストセブン
現場となったマンホール
【埼玉マンホール転落事故】「どこに怒りを…」遺族の涙 八潮陥没事故を受けて国が自治体に緊急調査を要請、その点検作業中に発生 防護マスク・安全帯は使用せず
女性セブン
ロシアのプーチン大統領と面会した安倍昭恵夫人(時事通信/EPA=時事)
安倍昭恵夫人に「出馬待望論」が浮上するワケ 背景にある地元・山口と国政での「旧安倍派」の苦境
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《秘話》遠野なぎこさんの自宅に届いていた「たくさんのファンレター」元所属事務所の関係者はその光景に胸を痛め…45年の生涯を貫いた“信念”
週刊ポスト
政府備蓄米で作ったおにぎりを試食する江藤拓農林水産相(時事通信フォト)
《進次郎氏のほうが不評だった》江藤前農水相の地元で自民大敗の“本当の元凶”「小泉進次郎さんに比べたら、江藤さんの『コメ買ったことない』失言なんてかわいいもん」
週刊ポスト
川崎、阿部、浅井、小林
女子ゴルフ「トリプルボギー不倫」に重大新局面 浅井咲希がレギュラーツアーに今季初出場で懸念される“ニアミス” 前年優勝者・川崎春花の出場判断にも注目集まる
NEWSポストセブン
6年ぶりに須崎御用邸を訪問された天皇ご一家(2025年8月、静岡県・下田市。撮影/JMPA)
天皇皇后両陛下と愛子さま、爽やかコーデの23年 6年ぶりの須崎御用邸はブルー&ホワイトの装い ご静養先の駅でのお姿から愛子さまのご成長をたどる 
女性セブン
「最高の総理」ランキング1位に選ばれた吉田茂氏(時事通信フォト)
《戦後80年》政治家・官僚・評論家が選ぶ「最高の総理」「最低の総理」ランキング 圧倒的に評価が高かったのは吉田茂氏、2位は田中角栄氏
週刊ポスト
スーパー「ライフ」製品が回収の騒動に発展(左は「ライフ」ホームページより、みぎはSNSより)
《全店舗で販売中止》「カビだらけで絶句…」スーパー「ライフ」自社ブランドのレトルトご飯「開封動画」が物議、本社が回答「念のため当該商品の販売を中止し、撤去いたしました」
NEWSポストセブン