国際情報

中国で脱北者の摘発が増加、至るところに設置されたAI搭載の監視カメラが威力発揮

北朝鮮の脱北者が「不審者」として逮捕されるケースが相次ぐ

北朝鮮の脱北者が「不審者」として逮捕される背景に監視カメラの機能の発達も

 中国では街頭で多くの監視カメラが設置されており、そのほとんどに顔面認証機能がついていることから、北朝鮮の脱北者が「不審者」としてマークされ、逮捕されるケースが相次いでいる。この結果、脱北者の第三国入りを手引きする密出国ブローカーに払う料金がこれまで1人当たり約2000ドル(約30万円)から5倍の1万5000ドルに跳ね上がっているという。中国紙「遼寧日報」などが報じた。

 遼寧省大連市の公安(警察)本部は今年3月、大連市内で、北朝鮮籍の6人と中国人ブローカー1人の計7人を密入国などの容疑で逮捕した。警察側は彼らが市内に入った時点で、監視カメラに映った彼らを人工知能(AI)で解析し、不審者として追跡。彼らが大連市近郊の民家に入った時点で彼らの身柄を確保した。

 脱北ブローカーらは脱北者が中国に入った時点で接触し、アジトに連れて行き、タイミングを見計らって、鉄道やバス、車などを使って陸路で国境を越えて東南アジア諸国に入り、空路で韓国に連れて行くというルートをとるのが一般的だ。

 しかし、中国には至るところに監視カメラが作動しており、脱北者が中国に入った時点で、「不審者」としてマークされ、その多くの人が逮捕され、北朝鮮に送り返されるか、中国内の勾留施設に入れられてしまうという。

 韓国統一省によると、2001年から2019年にかけて、毎年1000人以上の北朝鮮住民が韓国に到着し、2009年には2914人とピークに達した。しかし、2020年には229人に減少し、2021、2022年にはそれぞれ2桁になっている。

 急速な減少の原因について、同省は2020年から今年前半にかけて、中国と北朝鮮が国境を封鎖していたことがあげられるが、中国の監視カメラが脱北者にとって大きな脅威になっていることは間違いないと分析している。

 北京の外交筋が明かしたところでは、北朝鮮政府が中国政府に対して、脱北者の取り締まり強化を要請している。これまでは中国の官憲も人道的に脱北者をわざと見逃していたケースもあったが、上層部の指示で一転して取り締まりを強めざるを得ない状況になっているという。また、ブローカーは公共交通機関を使っていたが、取り締まり強化で、自ら車などの移動手段を用意しなければならず、脱北費用が跳ね上がる大きな要因になっている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

お笑いトリオ「ジャングルポケット」の元メンバー・斉藤慎二。9ヶ月ぶりにメディアに口を開いた
【休養前よりも太ってしまった】元ジャンポケ斉藤慎二を独占直撃「自分と関わるとマイナスになる…」「休みが長かった」など本音を吐露
NEWSポストセブン
約40年、地元で愛された店がラーメンをやめる(写真提供/イメージマート)
《SNS投稿やグルメサイトの弊害》あっという間に人気飲食店になったことを嘆く店の人たち 問い合わせが殺到した中華料理店は電話を撤去、行列ができたラーメン店は閉店を決めた 
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《TOKIO解散後の生活》国分太一「後輩と割り勘」「レシート一枚から保管」の節約志向 活動休止後も安泰の“5億円豪邸”
NEWSポストセブン
大谷翔平の新投球スタイルを分析(Getty Images)
《二刀流復活》進化する“投手・大谷翔平” 「ノーワインドアップ」と「シンカーボーラーへの移行」の新スタイルを分析
週刊ポスト
中山美穂さんをスカウトした所属事務所「ビッグアップル」創設社長の山中則男氏が思いを綴る
《中山美穂さん14歳時の「スケジュール帳」を発見》“芸能界の父”が激白 一夜にしてトップアイドルとなった「1985年の手帳」に直筆で記された家族メモ
NEWSポストセブン
結婚式は6月26日に始まり3日間行われた(時事通信フォト)
《総額72億円》Amazon創始者ジェフ・ベゾス氏の豪華結婚式、開催地ベネチア住人は「億万長者の遊び場に…」と反発も「朝食17万円、プライベートジェット100機貸し切り」で市長は歓迎
NEWSポストセブン
藤川監督(左)の直訴を金田氏(右)が存命であればどう評したか
阪神・藤川球児監督の「練習着にハーフパンツ着用」直訴で思い出される400勝投手・金田正一さんの言葉「大投手になりたければふくらはぎを冷やしたらアカン」
NEWSポストセブン
「札幌のギャグ男」公式インスタグラムより
《特別支援学級編入を決断した当事者の声》「小3の知能で止まっている」と宣告された中学1年生が抱えた“複雑な思い”「母さんを楽にしてやれるって思ったんだ」
NEWSポストセブン
STARTO ENTERTAINMENTの取締役CMOを退任することがわかった井ノ原快彦
《STARTO社取締役を退任》井ノ原快彦、国分太一の“コンプラ違反”に悲しみ…ジャニー喜多川氏の「家族葬」では一緒に司会
NEWSポストセブン
仲睦まじげにラブホテルへ入っていく鹿田松男・大阪府議(左)と女性
石破“側近”大阪府連幹部の府議、本会議前に“軽自動車で45分ラブホ不倫” 直撃には「知らん」「僕と違う」の一点張り
週刊ポスト
国民民主党から公認を取り消された山尾志桜里氏の去就が注目されている(時事通信フォト)
「国政に再挑戦する意志に変わりはございません」山尾志桜里氏が国民民主と“怒りの完全決別”《榛葉幹事長からの政策顧問就任打診は「お断り申し上げました」》
NEWSポストセブン
中居正広氏と被害女性の関係性を理解するうえで重大な“証拠”を独占入手
【スクープ入手】中居正広氏と被害女性との“事案後のメール”公開 中居氏の「嫌な思いをさせちゃったね。ごめんなさい」の返事が明らかに
週刊ポスト