旅の行き先は、どうやって決めているのだろう?
「『方位取り』といって、いい方角に向かう旅が好きなんです。30才からお世話になっている方位学の先生が、1年ごとに月替わりの方角マップを作ってくださるので、それに沿って行き先を選びます。
犬吠埼も、その月は東がよいとあったので、探して決めました。せっかく行くならいい方角の方が、気分も上がりますよね」
旅先での過ごし方も、実に自然体だ。
「事前準備は、温泉や氷穴とか、その土地ならではの名所やおいしいお店をチェックして、宿を拠点にルートを引くくらい。あれもこれも、アクティブに動くことはしませんね。できるだけ身軽でいたいので、1泊なら替えの下着くらいしか持っていきません。携帯電話があれば、ガイドブックもいらないしね。
ホテルのマッサージやエステも好きでよく利用します。私のことを知らない外国人のかたから『お姉さん、どこから来たの〜?』とか言われて、なんだか和みます(笑い)」
ひとり旅を楽しむには、何か秘訣があるのだろうか。
「ハズレの旅だったとしても、それをも楽しむことでしょうね。そして、『あんなに頑張って手配したのに……ウケる〜』と、怒る前に笑いに転化することです(笑い)。
楽しみにしていたお店がなくなっていたというのもよくあるけれど、それもハプニングと楽しんじゃう」
鈴木の最近のモットーは、「いかに自分の機嫌を取って暮らすか」だという。
「旅が好きなのは、自分の機嫌を上げてくれるから。嫌なことは家に置いて、感じたままにその場の“いま”を楽しめれば、『来てよかった』と幸せな気持ちになれます。
旅先に持ち込んでしまった怒りやストレスは、海に投げ込んでしまいましょう(笑い)」
ひとりに固執せず、感じたままに楽しむ“ゆるひとり旅”。軽やかで憧れる旅スタイルだ。
【プロフィール】
俳優・鈴木砂羽/1994年、映画『愛の新世界』で主演デビューし、第37回ブルーリボン賞新人賞などを受賞。テレビ朝日の人気ドラマ『相棒』シリーズに出演するほか、ドラマ、映画、舞台、バラエティーに加え、舞台演出やマンガ執筆など幅広いジャンルで活躍中。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2023年7月27日号