あなたの聞こえレベル診断チャート
音の細部に集中する
さらに、耳を鍛える音楽鑑賞のポイントを小松氏が解説する。
「音の分離ができたら、メロディ、音の強弱、速さ、音色などの移り変わりに意識を集中させてみましょう。“耳がいい”とは、自分が聞きたい音を瞬時に知覚できることを指します。例えば、遠くで自分の名前を呼ばれた時に、周囲の音が騒がしかったとしてもどこから聞こえる声なのか、音の方向が大体わかるような状態です。カメラのズームレンズのように、聞きたい音に焦点を合わせられるようになると“耳がいい”状態と言えるのです。
それを目指すには、『音の分離』で楽器のパートごとの音を意識することと、全体の音楽の流れに注意して変化を追いかけることを交互に繰り返す。結果として耳が鍛えられると考えます」(小松氏)
音楽の細部にまで耳を澄ませることが重要というわけだ。前出の坂田医師も言う。
「有毛細胞を再生することはできないので、まずは健康に保つことが前提ですが、難聴が進んでしまっても聞き取りのトレーニングをすることで耳の老化を防ぐことは不可能ではありません。『聴覚リハビリ』といい、推奨しているのが3~4人での『井戸端会議』です。音の強弱、高低、抑揚を意識して聞き分けることで脳が刺激され、加齢性難聴の進行を抑えたり、耳の聞こえの改善が望めます」
意識的に音と向き合う姿勢が必要になってくる。
※週刊ポスト2023年8月4日号
