観戦中の清原和博氏
しかし、高校1年生から進級する際に留年を経験している勝児は、現在高校2年生とはいえ、日本高等学校野球連盟の規定によってこの夏を最後に高校野球は引退しなければならない。大学入学までの残り1年半の時間はどう過ごすのだろうか。
「まだ決まっていません」
その点に関して、同校の森林貴彦監督は昨秋、こう話していた。
「大学まで穴埋めできない1年半の空白ができてしまいますが、野球部に残ったり、クラブチームの練習に参加したりするなど色々な選択肢がある。そこは今後、本人とご家族で話し合っていくことになりますね」
慶應大学では3歳上の兄・正吾が中学入学を機にやめていた野球を再び志し、活躍を見せはじめたばかり。神宮球場を主戦場とする兄に対し、勝児がもし甲子園でこの夏初安打を放ち、慶應の決勝進出、そして107年ぶりの日本一に貢献するようなことがあれば、高校野球ファンは必ずあの名実況を口にするはずだ。
甲子園は清原のためにあるのか──と。
◆取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)