作家・林芙美子の自伝的小説の舞台化『放浪記』は、上演回数2000回を超えた森さんの代表作

作家・林芙美子の自伝的小説の舞台化『放浪記』は、上演回数2000回を超えた森さんの代表作

 視聴者や観客からのラブコールに応えて89才まで舞台に立ち続け、まさに“生涯現役”を貫いた森さんだが、生前、本人はその元気の源を「スクワットとステーキ」と明かしている。スクワットは毎日150〜200回。肉はヒレでもサーロインでも、ステーキにして約100g。この習慣について遠藤さんはシニアにとって理想的な“お手本”だと高く評価する。

「たんぱく質は高齢者に必須の栄養素です。1日70gが理想で、魚や大豆などで摂ってもいいのですが、手っ取り早くたっぷりと良質なたんぱく質を摂取できるのは間違いなくお肉です。

 スクワットも運動としてベスト。高齢者の多くは足腰から弱っていくので、筋肉を鍛えることは重要ですが、ただ歩くだけでは難しい。スクワットや階段を上がる動作が最も効率がいいといえます」(遠藤さん)

 舞台の上では泣いて笑って観客を沸かせたが、最期は静かなものだった。2010年に『放浪記』の上演中止を発表し、その少し後から始まった入院生活でも、決して弱音を吐かなかったという。

「最後に病院で会ったときも痛いとかつらいとか、そういったことを一切おっしゃらない、本当にがまん強い人でした。私は森さんみたいに真面目じゃないからスクワットはしないけれど、幸い日舞をやっていたせいで骨は強いみたい(笑い)。骨折知らずなんです。私もまだまだやりたいことがあるから、生涯現役だった森さんを見習って頑張ろうと思います」(石井さん)

【プロフィール】
森光子(もり・みつこ)/京都府出身。14才で映画デビューした後、20才で上京し、歌手として活動。作家の菊田一夫氏に見いだされ、1961年に舞台『放浪記』で初めて座長を務める。『時間ですよ』などテレビドラマでも親しまれた。2009年には女優として初めて国民栄誉賞を受賞した。

※女性セブン2023年9月28日号

石井ふく子さん(時事通信フォト)

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