国内

『VIVANT』で注目の自衛隊「別班」、金大中事件では元メンバーの関与浮上するも安倍元首相は「別班」の存在自体を否定

大人気ドラマ『VIVANT』(インスタグラムより)

大人気ドラマ『VIVANT』(インスタグラムより)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、日曜劇場『VIVANT』(TBS系)で話題になった陸上自衛隊の「別班」について。

 * * *
『VIVANT』で注目された陸上自衛隊の秘密情報部隊「別班」。その名前はこれまでにも何度かメディアやノンフィクション本の中に登場してきた。そしてこれまで唯1人、別班の元メンバーとして実名があがった人物がいる。

 ドラマの中で「美しき我が国を汚す者は何人たりとも許さない」という信念の下、世界で暗躍する自衛隊の影の諜報部隊として描かれていた組織について、2013年11月、共同通信社はこんな記事を報じた。

「陸上幕僚監部運用支援・情報部別班(別班)が、冷戦時代から首相や防衛相(防衛庁長官)に知らせず、独断でロシア、中国、韓国、東欧などに拠点を設け、身分を偽装した自衛官に情報活動をさせてきたことが分かった」。記事を書いたのは編集委員の石井暁氏。現在Amazonでベストセラーになっている『自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体』(講談社現代新書)の作者だ。

 この報道を踏まえ2013年12月2日、国会で鈴木貴子衆院議員が別班について質問した。鈴木氏の父親はロシアと関わりの深い鈴木宗男氏。宗男氏はそのような拠点の存在を報じられ、どう思ったのだろう。貴子議員の質問に対し12月10日、安部晋三首相(当時)が答弁書を送付。その内容は「『陸上幕僚監部運用支援・情報部別班』なる組織について、これまで自衛隊に存在したことはなく、現在も存在していないことが確認されており、現時点においてこれ以上の調査を行うことは考えていない」というものだった。日本政府はその存在を否定し続けている。

 別班の存在が初めてクローズアップされたのは1973年。評論家の藤島宇内氏が『週刊現代』1973年10月18日号で、東京・飯田橋のホテルグランドパレスから、韓国の大統領候補だった金大中氏が拉致された事件に、別班の元メンバーが関わっていたと明らかにしたのだ。この時名前が挙がったのが、後に映画『KT』で佐藤浩市さん演じる陸上自衛隊中央調査隊富田満州男のモデルとなった陸上自衛隊元3等陸佐の坪山晃三氏だ。

 実は坪山氏のことはよく知っている。すでに亡くなってしまったが、民間の調査会社を経営していた彼に、幾度となく調査の仕事を頼み、時に協力し合い、調査方法や尾行について教えを請うたこともあるからだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情
(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト
盟友・市川猿之助(左)へ三谷幸喜氏からのエールか(時事通信フォト)
三谷幸喜氏から盟友・市川猿之助へのエールか 新作「三谷かぶき」の最後に猿之助が好きな曲『POP STAR』で出演者が踊った意味を深読みする
週刊ポスト
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
NEWSポストセブン