芸能

【改編期の異変】フジテレビが「楽しくなければ」の姿勢を鮮明に 世帯視聴率狙いの番組を一掃し原点回帰へ

港浩一

フジテレビの港浩一社長が改革を進める(時事通信フォト)

 この秋のテレビ番組の改編で、フジテレビの新番組に顕著な傾向が見られるという。それはテレビ界で長らく番組の”人気度”をはかる指標として重視されてきた「世帯視聴率」からの脱却だ。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 秋の改変期が間近に迫り、民放各局がそれぞれ終了させる番組、新たにスタートする番組、放送時間を移動させる番組を発表しています。

今秋の動きで最も目を引くのはフジテレビの改編。『潜在能力テスト』『林修のニッポンドリル』『TOKIOカケル』『VS魂』『爆買い☆スター恩返し』を終了させ、新たに『木7◎×部』(木曜19時台)と『オドオド×ハラハラ』(木曜20時台)をスタートし、『突然ですが占ってもいいですか?』を初のゴールデンタイムに昇格(月曜23時台→火曜20時台)などの動きが見られました。

さらに、金曜21時台にドラマ枠を54年ぶりに復活させ、第1弾として『うちの弁護士は手がかかる』を放送。「やっぱり、楽しくなければフジテレビじゃない」という改編のキャッチフレーズも含め、大きく変えようとしている様子が伝わってきます。

 これらの大幅な改編から読み取れるのは、2010年代に「テレビがつまらなくなった元凶」とまで言われ問題視された世帯視聴率の一掃。今秋の改編で動く番組にはどんな意味があるのでしょうか。

手堅いコンセプトの番組が次々に終了

 まず前述したフジテレビの番組にふれていきましょう。

 終了する『潜在能力テスト』『林修のニッポンドリル』『TOKIOカケル』『VS魂』『爆買い☆スター恩返し』の共通点は、中高年層から支持を集めやすいコンセプトであること。難易度が低めのクイズ番組『潜在能力テスト』、「林先生の授業」という形式の教養バラエティ『林修のニッポンドリル』、アラフィフ3人によるトークバラエティ『TOKIOカケル』、前番組の『VS嵐』から通算15年半放送されてきたゲームバラエティ『VS魂』、買い物と旅をフィーチャーした人情バラエティ『爆買い☆スター恩返し』は、それぞれ中高年層が好むコンセプトで世帯視聴率を手堅く狙うタイプの番組でした。

 一方、新番組の『木7◎×部』は「芸能人が学校にはない“部活”に挑む」、『オドオド×ハラハラ』は「オードリーとハライチを佐久間宣行が演出する」というターゲット層が低めのコンセプト。初のゴールデン昇格を果たす『突然ですが占ってもいいですか?』も同様であり、現在民放各局がターゲットに据える「コア層(主に13~49歳)の個人視聴率狙い」という姿勢がうかがえます。

 あらためて説明すると、世帯視聴率は「どれくらいの世帯で番組を見ていたか」、個人視聴率は「4歳以上の家族で、誰がどれくらい番組を見ていたか」を示す数値。個人視聴率は性別・年齢・職業などに分けた数値が出せる一方、世帯のみが基準の世帯視聴率が「いかにざっくりとした数値であるか」が分かるのではないでしょうか。

 また、それ以上に世帯視聴率が問題視されていたのは、「少子高齢化が進む日本では中高年層向けの番組を作ったほうが数値は上がりやすく、多くのスポンサー企業が求める消費行動の活発なコア層向けの番組とはかけ離れてしまう」こと。スポンサー企業としては、どんな人が何人見ているか分からない上に、中高年層に受ける番組のほうが数値は上がる世帯視聴率を指標として使う必然性はなく、ほぼ取引の現場では使われなくなっていました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小磯の鼻を散策された上皇ご夫妻(2025年10月。読者提供)
美智子さまの大腿骨手術を担当した医師が収賄容疑で逮捕 家のローンは返済中、子供たちは私大医学部へ進学、それでもお金に困っている様子はなく…名医の隠された素顔
女性セブン
吉野家が異物混入を認め謝罪した(時事通信、右は吉野家提供)
《吉野家で異物混入》黄ばんだ“謎の白い物体”が湯呑みに付着、店員からは「湯呑みを取り上げられて…」運営元は事実を認めて「現物残っておらず原因特定に至らない」「衛生管理の徹底を実施する」と回答
NEWSポストセブン
北朝鮮の金正恩総書記(右)の後継候補とされる娘のジュエ氏(写真/朝鮮通信=時事)
北朝鮮・金正恩氏の後継候補である娘・ジュエ氏、漢字表記「主愛」が改名されている可能性を専門家が指摘 “革命の血統”の後継者として与えられる可能性が高い文字とは
週刊ポスト
英放送局・BBCのスポーツキャスターであるエマ・ルイーズ・ジョーンズ(Instagramより)
《英・BBCキャスターの“穴のあいた恥ずかしい服”投稿》それでも「セクハラに毅然とした態度」で確固たる地位築く
NEWSポストセブン
箱わなによるクマ捕獲をためらうエリアも(時事通信フォト)
「箱わなで無差別に獲るなんて、クマの命を尊重しないやり方」北海道・知床で唱えられる“クマ保護”の主張 町によって価値観の違いも【揺れる現場ルポ】
週刊ポスト
火災発生後、室内から見たリアルな状況(FBより)
《やっと授かった乳児も犠牲に…》「“家”という名の煉獄に閉じ込められた」九死に一生を得た住民が回想する、絶望の光景【香港マンション火災】
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン