サカナクション・山口一郎は「真面目な顔でウソをついてくれて、絶妙に信頼感がある人」
『TAROMAN』は、単に「1970年代風」特撮ドラマの新作として放送することもできたはずだが、5分間のうち最後の1分間を「TAROMANと私」と題したサカナクション・山口一郎のインタビューコーナーとし、彼が「再放送を見た」と語ることでフェイクドキュメンタリー(モキュメンタリー)の形式となっている。
「NHKの放映のジャンルでも『TAROMAN』はドラマではなくて、教養番組になっているんです。だからこれが岡本太郎作品をモチーフにしていることはちゃんと伝えなくちゃいけない。でも、奇獣が出てきたときに『この作品は◯◯年のもので~』みたいに解説が入ったら興ざめするし、面白くないなと思ったんです。そうではない方法がないかなと考えて思いついたのが、当時を懐かしむファン目線で解説を入れるというモキュメンタリーの構造でした」
その重要な役割にミュージシャンの山口一郎が起用されたのは驚きだった。
「まず岡本太郎ファンというのが大前提で、それを公言している人を探しました。役者さんだと、普段から演じてウソをつけるのが当たり前という感じがするし、芸人さんだと、オモシロに行ってしまう。至って真面目な顔でウソをついてくれる人で絶妙に信頼感がある人として山口さんがハマるんじゃないかなと。
最初は山口さんもさすがに混乱してましたね(笑)。なにしろ、できあがった映像もまだなかったんで。タローマンが立ち上がるカットとかバラ素材だけ見てもらって、話してもらったんです。でも、その混乱を含めて妙なリアリティが出たんじゃないかなと思います。一応ざっくりとした台本はあったんですけど、基本的に岡本太郎の作品についての気持ちは山口さん自身の感想を言ってもらっています」