国内

「手錠が痛かった」歌舞伎町の大久保公園で覆面警察に逮捕されたアイドル似“交縁少女”の告白【前編】

“立ちんぼ”

路上で売春の客を待つ“立ちんぼ”の実情とは──写真はショウコさん(21才・仮名)

 日本最大の歓楽街・新宿歌舞伎町。その中心部にほど近い新宿区立大久保公園にいま、路上で売春の客を待つ“立ちんぼ”が急増している。その多くは、20代前半だという。「交縁女子」と名乗る彼女たちの実情を、歌舞伎町の住人たちを取材した著書『ホス狂い~歌舞伎町ネバーランドで女たちは今日も踊る〜』を持つノンフィクションライターの宇都宮直子氏がレポート。【前後編の前編】

 * * * 

「宇都宮さん、私の知り合いの“交縁女子”で逮捕されちゃった子がいるんですけど、話、聞いてもらえますか?」

 こう話すのは、まだ20代半ばと年若いながらも、歌舞伎町でバーの店長として店に立ち、女の子たちの中でも「顔」となっている事情通の女性ナナさん(仮名)だ。聞くと、その“知り合い”はまだハタチ。大久保公園脇で立っていたところを、客を装った覆面警官に現行犯逮捕され、「留置所から出てきたばかり」という。

 “交縁”とは2022年ころからSNSを中心に広まった言葉で、歌舞伎町の高層ビル『ハイジア』付近から大久保病院、そして大久保公園近辺で「男性との縁」を求める女性たちと彼女らを「買う」男性たちの“行為”を総称した造語。いわゆる「立ちんぼ」のことだ。彼女らのメインの活動場所である「公園」にかけて「交縁」としたその言葉は、キャッチーな響きもあり、人気YouTuberや大手メディアが大々的に取り上げ、公園周辺にはますます「売りたい女性」と「買いたい男性」が集まるようになった。

 その様子を一目見ようとする観光客や配信者などが入りみだれ、一時期は決して広くはない公園周辺の一画に、国籍を問わず老若男女さまざまな人々が集まり、まるでラッシュアワーの満員電車ほどの賑わいとなっていた。個人売春が“援助交際”と名前を変え、現在は「パパ活」とよりポップな印象となり、一般の女の子が参入してきたように「街娼」や「立ちんぼ」が「交縁女子」と言い換えられるようになったことをきっかけに、まだ若い女性たちが公園の脇に立つようになったのだ。

 私は、彼女たちの存在が少しずつ話題を集め始めていた2022年6月頃、歌舞伎町に集まる「ホス狂い」の女の子たちを取材すべく大久保公園の真向かいに立つホテルに居を構えていた。昼すぎになると集まってくる、ふわふわのワンピースにキャリーバッグを持った若い女の子たちや、すぐそばの「トー横広場」にいる「トー横キッズ」のような少女、そして、周辺をぐるぐると回遊するかのような男性たちの姿に、当初「ここは待ち合わせの“聖地”なのかな?」とくらいにしか思っていなかった。つまりはそれほど、「交縁女子」たちは、どこにでもいるような女の子たちだったのだ。

 店舗ならまだしも、一対一のやりとりでは事件に巻き込まれる可能性、またそれこそ逮捕のリスクなど、常に危険がつきまとう。にもかかわらず、一体なぜ彼女たちはその場に立ち続けるのか。大久保公園付近を訪れるたび、またメディアで「交縁」について報じられるたび、疑問がよぎっていた。だから、ナナさんからの提案はある意味で“渡りに船”だった──。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン