ライフ

【MEGA地震予測】伊豆諸島“ステルス津波” 高まる警戒意識 押さえておきたい津波の脅威と備え

地震や津波の脅威と備えで重要なことは

地震や津波の脅威と備えで重要なことは

震源地より約500キロ離れた千葉県館山市で約2万世帯に避難指示が出された。揺れてないのに津波?と感じた人もいただろう。因果関係を探る。

目次:
・2023年10月9日早朝、伊豆諸島の鳥島近海で地震が発生
・地震科学探査機構(JESEA)が警戒
・被害想定では「都心部に2メートルの津波」
・2023年は関東大震災から100年の節目
・MEGA地震予測 アプリ

* * *

2023年10月9日早朝、伊豆諸島の鳥島近海で地震が発生

約500キロ離れた千葉県館山市では約2万世帯に避難指示が出され、30cmの津波が観測された。地震の規模を示すマグニチュードは一般的に津波を伴うとされるM6よりはるかに小さく詳細不明とされるため、気象庁は「普通の地震ではない」との見解を示した。

祝日の朝、テレビやスマホから流れる津波への警戒の呼びかけにドキリとさせられたことだろう。テレビのアラートを見て、「揺れてないのに津波?」と感じた人もいただろう。
ほとんどの人が気がつかない間に沿岸部に押し寄せる──その様は“ステルス津波”とも呼ぶべきか。

地震科学探査機構(JESEA)が警戒

地震科学探査機構(JESEA)の「MEGA地震予測」が、首都圏でのさらなる地震と津波の発生に警戒を促している。

JESEA主席研究員兼CTO(最高技術責任者)の郭広猛博士が語る。

「今回のように規模が小さく、遠く離れた地域の地震でも津波の危険は伴います。決して油断してはいけません。
『隆起・沈降』では、大島、新島、三宅島、御蔵島、八丈島という東側の島が隆起する一方、式根島、神津島、青ヶ島という西側の島が沈降し、その境目に歪みが溜まっていると考えられる。特に電子基準点『三宅島4』と『式根島』の差は7.1cmとなっていますが、経験則から6cmを超えると地震につながる可能性は高くなります。伊豆諸島では、今後も津波を伴う地震が起きる可能性があり、引き続き警戒が必要です」

被害想定では「都心部に2メートルの津波」

大きな揺れにも注意が必要だ。2014年5月に発生した伊豆大島近海地震(M6.0)では、震源に近い大島は震度2だったが、遠く離れた千代田区では震度5弱を観測している。

さらに郭博士は、関東には「ほかにも警戒すべきエリアがある」と指摘する。それが相模湾周辺やここ数年地震が頻発している千葉県だ。

「静岡県の伊豆半島では、伊豆諸島から一直線に連なるように、電子基準点『戸田B』の7.64cmなど大きな『異常変動』が集中して現われています。千葉県では、中央部のみ継続して沈降し、周囲との境目に歪みが溜まっていると考えられるため、今後も要注意です」

警戒ゾーンの詳細はMAPに示したので確認してほしい。

異常変動関東MAP2023 VOL.6

異常変動関東MAP2023 VOL.6

2023年は関東大震災から100年の節目

今年は関東大震災から100年の節目の年に当たる。専門家が当時について様々な検証を行ない、東北大学の研究グループは神奈川県鎌倉市に2~3メートルの津波が数十分おきに押し寄せたと報告した。

昨年5月に東京都が約10年ぶりに改定した「首都直下地震等による東京の被害想定」によると、関東大震災と同様の地震が発生した場合、中央区や江戸川区などにも2メートルを超える波が到達するとしている。

MEGA地震予測 アプリ

東大名誉教授の村井俊治氏が立ち上げた「MEGA地震予測」は、国土地理院の全国約1300か所に設置している電子基準点のGPSデータを使って地表の動きを捉え、1週間ごとの上下動の「異常変動」、長期的な「隆起・沈降」、東西南北の「水平方向の動き」の3つの主な指標を総合的に分析している。

JESEAでは毎週水曜日にスマホ用アプリ「MEGA地震予測」(月額380円)で情報提供している。
詳しくはhttps://www.jesea.co.jp

* * *

地震や津波はいつ起きるか分からない。
津波は低く感じられる数値でも脅威となる。内閣府によると、地面から30cmで人が動けなくなり、50cmで車も流されるとしている。
警戒を怠らないようにしたい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ブラジルにある大学の法学部に通うアナ・パウラ・ヴェローゾ・フェルナンデス(Xより)
《ブラジルが震撼した女子大生シリアルキラー》サンドイッチ、コーヒー、ケーキ、煮込み料理、ミルクシェーク…5か月で4人を毒殺した狡猾な手口、殺人依頼の隠語は“卒業論文”
NEWSポストセブン
9月6日に成年式を迎え、成年皇族としての公務を本格的に開始した秋篠宮家の長男・悠仁さま(時事通信フォト)
スマッシュ「球速200キロ超え」も!? 悠仁さまと同じバドミントンサークルの学生が「球が速くなっていて驚いた」と証言
週刊ポスト
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン