正捕手・坂本の成長

 そんな経緯があったため、今回は“贔屓目なし”の本音解説を聞いた。達川氏の岡田阪神の高評価は続く。

「今年のタイガースは強い。野球は走攻守というが、走という面では盗塁王の近本(光司)と次点の中野(拓夢)がいる。カープのレギュラーで足が使えるのは野間(峻祥)ぐらい。羽月は控えだからね。

 守りもノイジー、近本、森下(翔太)と外野は鉄壁だし、内野も守備が心配なのはサードの佐藤(輝明)ぐらい。機動力野球がカープの十八番だが、岡田タイガースにお株を奪われとる。これじゃ勝負にならんよ」

 そして、達川氏が最も評価しているのは正捕手の坂本誠志郎の成長だという。

「坂本のリードがようなったよね。捕手のチーム内ライバルといえば近鉄の“有梨(ありなし)”が有名だった。梨田(昌孝)さんがレギュラーになったのは、有田(修三)さんの骨折がきっかけだった。梨田さんは試合に出るほどに味を出してきたが、梅野(隆太郎)が骨折して坂本がマスクをかぶるようになった今年の阪神によう似ている」

 広島は先発の大瀬良大地や森下が調子を落としているうえ、矢崎拓也がコロナ特例で登録抹消となった。セットアッパー不在で後半勝負ができないという。広島OBとしてカープファンが希望を持てるトークも、とお願いしたところこう話した。

「強いていえば、昨年まで阪神のバッテリーコーチだった藤井(彰人)ヘッドが阪神を知り尽くしているということ。作戦コーチも兼ねているので、カープがファーストステージの横浜戦で見せたような羽月の三盗とスクイズみたいな思い切った作戦を奏功されるかがカギを握る。

 あとペナント終盤に調子がおかしくなった抑えの岩崎(優)がどう調整してくるか。阪神の不安材料はそれだけ。打てなくても点が取れる打線は脅威。岡田監督も2005年のロッテとの日本シリーズでの4連敗を経験しているので、短期決戦の調整の難しさは身をもって知っている。フェニックスでいい調整ができているようだし、試合から離れている間の対応もわかっている。カープとの差はシーズン中の11.5ゲーム差がそのもの実力の違い。岡田阪神は手強い」

 達川氏の掛け値なしの本音解説。新井監督の奮起につながるのだろうか。

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