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人質たちは無事なのか

 はたして人質たちは無事なのか。『戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む』(彩流社)などの著書を持つ中東ジャーナリストの川上泰徳氏が解説する。

「ハマスにとって、人質はイスラエルや諸外国を交渉のテーブルにつかせるための貴重な取引材料です。人質がいる間は、イスラエルも総攻撃を仕掛けられません。ガザ地区が深刻な水と食糧不足に悩まされている中であっても、人質は最大限に丁重に扱われるはずです。貴重な取引材料だからこそ、ハマスも人質の居場所は秘密にしています。

 人質のリストなどは公表されていませんが、イスラエル政府は25日に220人の人質のうち138人は25か国の外国旅券を持つと発表しました。米国12人、アルゼンチン15人、ロシア6人などということで、二重国籍のイスラエル人も含まれるでしょうから、身元は特定されていると思います」(川上氏、以下同)

 人質をめぐり、今後どのような動きが考えられるか。

「初めにアメリカ人の母娘、そして次に『人道的な理由』としてアメリカ国籍の高齢女性2人を解放しました。ハマスは決して人質を問答無用で殺すような理屈の通じない集団ではなく、話し合いの意志がある組織だということを対外的にアピールしたのでしょう。

 ハマスは外国人の人質を“ゲスト”として『状況が許せば解放する』と発表しています。彼らは時期を見て無条件に解放されるのでしょう。また、ハマスの政治部門からは『イスラエル人の人質と、イスラエルが捕らえているパレスチナ人の政治犯を交換する』という案が出ているといいます。

 ハマスを擁護するわけではありませんが、イスラエルの空爆により、ガザでも26日までに7000人以上が死亡し、うち3000人近くは子供となり、多くの民間人が犠牲になっています。イスラエル内でも、空爆に反対する和平派が存在します。人質解放で時間をかけるうちに世界的にイスラエル非難の声が広がり、イスラエルも全面侵攻をやりづらくなったところで人質解放の話し合いに持ち込む。それがハマスの狙いではないでしょうか」

 1日でも早く事態が収束してほしい。

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