これまでの自・公・創を巡る流れ
内閣に目を向ければ「連立」、選挙協力に注目すれば「政党連合」の関係を四半世紀近く維持している例は世界的にも珍しい。私は政治記者として連立に至る過程を自民党側から取材していたこともあり、敵対していた自公はなぜ内閣を共にし、鉄壁の選挙協力を築くようになったのか、を今も調べ続けている。
自公関係を考える上でカギになるのは公明党の参議院での議席、そして得票力であり、その基盤は創価学会だ。
創価学会そのものの拡大のピークは1970年代初頭とされており、現在は選挙活動に熱心な学会員が仲間や学会員ではない親戚や友人、知人に投票依頼することが活動の中心となっているという。
近年では得票力の衰えが指摘されているとはいえ、いまだに数百万票を獲得できる組織はほかには見当たらない。自民党最大の支持団体である全国郵便局長会(全特)でも2022年の参院選では41万、公明党は全特15個分ということになる。
自民党にしてみれば、立川市で起きた現象が全国化し、離反しただけでも打撃は甚大だ。
(第2回に続く)
【プロフィール】
柿崎明二(かきざき・めいじ)/1961年、秋田県生まれ。早稲田大第一文学部卒。共同通信社政治部記者、編集委員、論説委員などを歴任。2020年10月から2021年10月まで菅義偉内閣の首相補佐官を務めた。2022年4月より帝京大学法学部教授。著書に『検証 安倍イズム─胎動する新国家主義』(岩波新書)などがある。
※週刊ポスト2023年11月10日号