自由診断で相場は月に1~4万円
GLP-1受容体作動薬(以下、GLP-1)は注射タイプの「オゼンピック」「サクセンダ」「ビクトーザ」や経口タイプの「リベルサス」など複数あり、特に“人気”なのが「マンジャロ」と呼ばれる注射タイプだ。鉄医会ナビタスクリニック理事長の谷本哲也さんが言う。
「今年4月に発売が開始された最新の薬で、臨床試験では既存薬を超える20%以上の痩身効果がありました。新薬ですが、“体重減少効果が大きい”と肥満を気にする糖尿病患者から人気が高いです」
効果が大きいだけでなく、手間が少ないところもマンジャロが選ばれる理由だ。村山さんが解説する。
「のみ薬のリベルサスだと、毎日同じ時間にのむ必要がありますが、マンジャロは週1回の使用で効果があるので、打ち忘れなどが起こりにくい。週1回タイプは当日の好きな時間に打っても問題ないのが長所です」
気になるのは価格と、入手方法。多くの人は美容クリニックで購入しているが、あくまで自由診療のためクリニックによって価格は異なる。相場は月に1万〜4万円だ。
「比較的安いクリニックの場合、のみ薬のリべルサスは有効成分の量が3mgのもので1か月8500円ほど。7mgに増えると1万7000円と値段も上がります。
注射タイプのマンジャロは有効成分の量が2.5mgで1か月1万9000円ほど。ほかの注射タイプも似たような価格帯です」(村山さん)
クリニックに行って直接購入するほか、オンラインで問診を受ければ購入後に郵送されてくるケースもある。
「当院ではオンラインと対面の両方の診療を行ってから処方しており、使用上の注意もしっかり説明しています」(村山さん)
なぜ注意が必要か。それは薬である以上、副作用があるからだ。
実際、都内在住の女性Tさん(29才)は体調不良を感じ、4日間の入院を余儀なくされた。
「服用を始めてから、食後にひどい胃痛を感じるようになりました。胃薬も効かず嘔吐を繰り返すのですが“1か月程度で治まる”と言われていたのでがまんして耐えました。
でも1か月経っても治まらず、痛みがひどくなったので病院で診察を受けたら、急性すい炎と診断されました」
谷本さんが言う。
「GLP-1は従来の糖尿病薬と比較して、低血糖リスクも少なく優秀な薬です。食欲不振など消化器官の不調も薬の効果の裏表の関係で、抗肥満作用の一部と考えていい。
ただし、まれですが、すい炎や胆嚢炎などの入院が必要な副作用が起きることもあり、使用開始後の経過観察は大切です」
村山さんも口をそろえる。
「服用した5%ほどの患者さんに副作用が起きています。軽い吐き気や胸やけ、便秘程度であれば市販薬で対処できますが、症状が回復しない場合は病院を受診してください」
減量に合わせて肌が縮むことが間に合わず、しわやたるみが出た人もいる。逆にいえば、それだけ大きい減量効果があるともいえるだろう。