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糖尿病薬を使った「GLP-1ダイエット」の大問題 品薄で糖尿病患者に届かない事態、ぼったくりをするクリニックも

(写真/アフロ)

本当に必要な糖尿病患者に届かない事態に(写真/アフロ)

「どうしてもご飯もおやつもがまんできなかった」「運動なんて面倒くさい」。そうやってダイエットを諦めたことは誰にだって一度はあるだろう。そんな多くの人の夢を叶える“ダイエット薬”がいま、議論を呼んでいる。夢の薬は福音となるのか、それとも──。

「運動も食事制限もせずにやせられる薬はないだろうか」──ダイエットを始めた人なら誰もが一度は思うことだろう。そんな夢のような効果があるとして、いま注目を集めているのが糖尿病治療薬である「GLP-1受容体作動薬」だ。

「GLP-1ダイエット」をインターネットで検索すると、「食事制限は不要」「運動もいらない」「短期間で無理なくやせる」といった大量のクリニックの広告が表示される。にわかには信じがたい話だが、体験者からは効果があると喜びの声が上がっている。

 週1回の注射と1日1回ののみ薬を服用し、3か月で8kgやせた、お笑いコンビ「かまいたち」の山内健司(42才)は『【ダイエット】かまいたち山内がGLP-1ダイエットについて話します』という動画を今年4月、YouTubeにアップした。

 その動画内で「お腹に注射を打つダイエットなんですけど、食欲がまず抑えられるらしいんですよ」「摂取した糖質とかが半分くらいは尿とともに排出される」と解説しており、「やせないっていうのがないねんて」と絶賛。

 5月に注射タイプを試した千葉県在住の女性Aさん(41才)も満足そうな笑みを浮かべ、こう話す。

「服用後は食欲が減り、おやつも欲しくならず、間食をしなくなりました。翌週以降はご飯を食べ始めるとすぐにお腹がいっぱいになり、それまで食べていた量が食べられなくなった。イメージとしてはラーメンの最後の3口目から苦しくなる感じです。私は1か月で2.5kgやせました」

 6月に経口タイプを服用した大阪府在住の女性Mさん(38才)も、2週目以降から効果が出始めたと話す。

「特に運動もせず、朝も昼もきちんと食べ、夜はお酒も飲んでいました。2週目から徐々に食欲がなくなってきて自然とやせます。無理に食べるのをがまんするのではなく、食べすぎを抑制してくれている感じでまったくつらくなかったのに、開始1か月で5kgほどやせましたね。最終的には3か月で15kgほど減り、服がサイズアウトして買い直したのは痛い出費でしたが、やせられてよかったです」

 GLP-1受容体作動薬を服用する患者を診ている、浅草橋三丁目クリニックの村山慎一郎さんも理に適った薬だと話す。

「体重が重い人ほどやせ方が大きく、3か月で5kgの減量が目安になります。全身まんべんなくやせるのが特徴で、食事改善や運動などを組み合わせると相乗効果がある」

 医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが説明する。

「GLP-1はもともと消化管ホルモンの一種で、すい臓に作用して血糖値を下げるインスリンの分泌を促進します。そのホルモンと同様の効果がある薬を服用し、血糖値をコントロールすることで体脂肪がつきにくい体にします。

 また、脂肪細胞に働きかけて基礎代謝を上げるので、脂肪が分解されやすくなる。胃腸や脳にも働きかけて満腹感を得たり、食欲を抑制する作用もあるので、世界的に“やせ薬”として人気になっています」

 体の中から“やせ体質”を作る「GLP-1ダイエット」が流行するのはもっともなことだろう。

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