芸能

趣里、安藤サクラ、仲野太賀…“親の七光り”を感じさせない“ド根性”な二世俳優たちの魅力

NHK連続テレビ小説『ブギウギ』主演中の趣里

NHK連続テレビ小説『ブギウギ』主演中の趣里

 かつて“二世タレント”と言えば、親の七光りに頼っているというイメージが強かったかもしれない。しかし、それも大きく変わっているという。活躍する二世俳優の魅力について、コラムニストで放送作家の山田美保子さんが綴る。

 * * *
「趣里チャンとはお互いの舞台を見たりはしていましたが共演は初めてです。女優としても人としても大好きなので、お声がけいただき、うれしかったです」

 とは、趣里サン(33才)主演のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』で、大阪の「梅丸少女歌劇団(USK)」第1期生の娘役として劇団を引っ張るトップスター・大和礼子役の蒼井優サン(38才)のコメントです。

 10月20日、『あさイチ』(NHK)の「プレミアムトーク」に出演した蒼井サンは、このコメントとほぼ同様の話をし、出産後、悩んでいた連続ドラマ出演の背中を押したポイントの1つに“大好きな趣里チャン”の存在があったとも話しました。

 蒼井サンといえば芸能界でいうと小泉今日子サン(57才)的な審美眼で立ち回り、クリエーターとしての顔を持つかた。そんな蒼井サンが趣里サンを「かわいい」「大好き」と公言すること、すごく理解できますし、趣里サン、幸せですよね。

『ブギウギ』の趣里サンは33才とは思えないほど可憐だし、確かにかわいい! トゥシューズを履いてレッスンする様子は、あぁやっぱりクラシックバレエに真剣に取り組んでいた人なのだなぁということが手足の指先までの美しい動きでわかり、いつも見惚れてしまいます。

 水谷豊サン(71才)と伊藤蘭サン(68才)を両親に持つ、いわば“14光”女優ではあるものの、ご両親の影がほとんど感じられない希有な二世女優さんでもあります。

 高校に進学するタイミングでイギリスにバレエ留学。しかし、アキレス腱断裂に足首の剥離骨折など度重なるけがを治療するために帰国し、高等学校卒業程度認定試験で大学入学の資格を得て、母の伊藤サンと同じ日本大学芸術学部演劇学科に入学……というプロフィールを拝見するだけでも、ものすごく根性があるかただということがわかりますよね。

 2015年より現在の『トップコート』に所属するまでは、複数のプロダクションや劇団に所属したうえ、フリーの時代もあったといいます。

 それを黙って見守っていらした水谷サンと伊藤サンもすばらしいなと思いました。娘や息子かわいさで、フツーこうはいかないものですから。

 つまり、知り合いの事務所に頭を下げたり、自分の元で付き人やマネジャーをさせたりするのが多くの二世俳優や二世タレントの父や母です。

 当然、趣里サンには女優としての“筋肉”がどんどん付いていき、2018年、映画『生きているだけで、愛。』が公開された翌年には『第42回日本アカデミー賞』で「新人俳優賞」、『第33回高崎映画祭』で「最優秀主演女優賞」を受賞。“若き個性派女優”として名を知られることとなりました。

 果たして、近年、オファー(キャスティング)も少なくなかった朝ドラにおいて、『ブギウギ』は2471人が応募するオーディションが開催されることに。自身の年齢が、まさに応募年齢のギリギリだったことに背中を押された趣里サンは、オーディション組では最高齢の朝ドラヒロインとなったのです。

「気質は水谷豊似」とは母・伊藤蘭サンの弁ですが、『ブギウギ』で、すっぴんに近いメイクでレッスンに励む様子は、キャンディーズ時代のランちゃんによく似ていらっしゃる。“顔芸”というべき表情を頻繁に見せる様子は、『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』(テレビ朝日系)でコントをしていらしたランちゃんのことを思い出してしまいました。

 趣里サン出演のドラマの中で私がすごく印象的だったのは、2021年7月期の『ボイスII 110緊急指令室』(日本テレビ系)最終話なんです。役名ナシの“謎の女性”。文字通り、すべてが謎すぎたのですが、あまりの演技のすばらしさに「趣里チャンをメインにIIIを作ってほしい」とオンエア直後、プロデューサーにLINEしてしまったほどでした。表情だけですごい演技ができる女優さんなんですよね。

 でも、歌手の笠置シヅ子さんをモデルにした『ブギウギ』ですから、今後はボイトレで育んだ美声でたくさん歌を聴かせてくださるハズ。さらに、多くのクリエーターのかたたちが趣里サン中心の企画を続々と考え、オファーの準備をしていると思われます。2024年の趣里サンの活躍がいまから本当に楽しみです。

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン