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「過去に死別した交際相手からのLINEが何度も届くようになった」──群馬・強盗殺人事件で被告の元彼が証言した「被告と同棲し始めた後に起きた“怪現象”」

前橋地裁にて判決

前橋地裁で開かれている強盗殺人事件の裁判で“怪現象”に関する証言も(筆者撮影)

 2020年の夏にSNSで自殺志願者を募り、集まった女性のひとりを殺害し、所持品を奪ったという事件で強盗殺人などの罪に問われている女の裁判員裁判が前橋地裁(橋本健裁判長)で開かれている。

 被告人の山本結子(33)はX(旧Twitter)に自殺志願者を募集する投稿を行ない、これによって知り合った48歳の女性Aさんを実行犯の小船治受刑者(37)とともに殺害して身分証などを奪ったという強盗殺人のほか、元交際相手のBさん宅に放火しようとした現住建造物等放火未遂、さらに覚醒剤取締法違反や威力業務妨害などの罪に問われている。10月18日の初公判罪状認否では、強盗殺人について「間違いです」と否認し、放火未遂についても「私はやってません」と否認。弁護人も「関与しておらず無罪」だと主張した。

「山本被告が小船受刑者を意のままに操り行なった事件」と検察官が冒頭陳述で述べたように、この事件は山本被告がLINEやテレグラムを駆使し、小船受刑者を追い詰め、操ったとする複雑怪奇なものだった。すでに懲役27年の判決が確定している小船受刑者の公判でこれは事実と認定されている。

 検察側の冒頭陳述によれば、山本被告は2020年5月にマッチングアプリで知り合ったBさんと交際、Bさん宅で同棲していたが、同年7月、山本被告がBさんのクレジットカードを不正利用したとして疑われ、同棲時に連れて行った2頭の犬と一緒にBさん宅から出ていかなければならなくなった。

 それを恨みに思った山本被告は「Bさんを殺人犯とするため、まず自殺志願者を殺害して免許などを奪い、Bさんの家にそれを置いて放火する」という計画を実行しようとしたのだという。その計画のために、LINEやテレグラムで操られたのが実行犯の小船受刑者だった。

 もともと山本被告とは単なるゲーム友達だったという小船受刑者。山本被告はBさんから嫌がらせを受けているという設定の女性・実(みのり)や、実(みのり)の父親、Bさん、Bさんの家族など、いくつもの架空やなりすましのSNSアカウントを作り上げ、小船受刑者に近づいていった。「実」やその父親は実在しない。

 小船受刑者の証人尋問によれば、彼は山本被告から紹介されたという実と、実の父親を名乗るSNSアカウントから、実との結婚や仕事の紹介を匂わせられたという。同時に、Bさんやその家族を名乗るアカウントから、山本被告がBさんと同棲していた家から連れて行った犬2匹を小船受刑者が飼い始めたことについて、「犬泥棒」などと言われ、立て続けに脅迫を受けるなどしていたと証言した。

 最終的に「Bを殺人犯に仕立て上げるための計画を実行すれば、実と結婚できて、一緒に暮らせる」と思い込まされ、山本被告とともに事件を起こしたと語った。山本被告がTwitterで自殺志願者を募集し、これによって集まったAさんをバットで殴打し、山本被告とともにロープで首を絞め、生きている状態のAさんを橋から落として殺害したと証言している。

 その後はBさん宅の敷地にガソリンを撒いて放火しようとしたが、燃え広がることなく未遂に終わった。Bさん宅は鍵が替えられており、山本被告が持ち出していた合鍵では家に入ることができず、Aさんの身分証を置くこともできなかった。小船受刑者は逮捕されるまで、自身がやりとりしていた複数のアカウントが全て「架空やなりすまし」であることを知らなかった。山本被告が作り出した「実」というアカウントが実在するものと思い込み、「俺の嫁」と周囲に話していたという。

 事件は山本被告が“Bさんへの恨み”から起こしたものだと検察側はみているが、当の山本被告は「全て小船がやった」と、実行犯が勝手に暴走したと主張。「『お前も殺されてえのか』と小船に言われた」などと語った。複数の架空アカウントについては「元交際相手のBさん」による仕業であるとも述べていた。

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