芸能

【フェイクドキュメンタリー】テレビ東京入社5年目プロデューサー・大森時生が語る“分かりづらい不気味さ”が人気の理由【短期連載・てれびのスキマ「『フェイク』のつくりかた」】

家族との温かい触れ合いを感じる奥様応援バラエティの『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』

家族との温かい触れ合いを感じる奥様応援バラエティの『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』

 テレビからフェイクドキュメンタリー番組を次々と世に送り出すテレビ東京プロデューサー・大森時生。今まで大森氏が企画・演出してきた番組はすべてフェイクドキュメンタリーで、自身もフェイクドキュメンタリーの猛烈なファンのひとりだ。

 後編では『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』『このテープもってないですか?』の演出術を訊きながら、今、フェイクドキュメンタリーというジャンルに注目が集まる理由に迫った。

 聞き手は、『1989年のテレビっ子』『芸能界誕生』などの著書があるてれびのスキマ氏。現在、ネットで話題の「フェイクドキュメンタリー」に意欲的に取り組んできたテレビ番組の制作者にインタビューを行なう短期シリーズの第3回【前後編の後編。文中一部敬称略】。

 * * *

『奥様ッソ』の当初のタイトルは『2回見たら怖いテレビ』

 大森時生が初めて企画から立ち上げたのは、入社3年目に制作した『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』(BSテレ東)だ。2021年の年末に4夜連続で放送。「芸能界のおせっかい奥様が日頃大変な思いをしている奥様たちのお悩み解決に大奮闘!笑いあり、涙ありのハートウォーミングバラエティです!」という番組公式HPの紹介文は、コアな番組を好む視聴者からは真っ先にスルーされてしまいそうな内容とタイトルだ。

 企画が通った際のタイトルは『2回見たら怖いテレビ』だったという。「大家族」や、「集落に住む夫婦」に密着するのだが、その裏で不穏なことが起こっているという設定で、『放送禁止』へのオマージュでもあるという。

 一方で、『放送禁止』がタイトルで不穏さを提示しているのに対し、企画書の当初のタイトルから変更し、『がんばれ奥様ッソ!』という何の変哲もない主婦向けバラエティとして受け取られる。

「構成作家の竹村武司さんと話したときに、そのままのタイトルで行くのはやめようということになりました。『2回見たら怖い』とタイトルで言ってしまうと、ある種の安心感が生まれてしまう。ショーとしての異物を見せられている感じになってしまう。そうではなくて、見終わった後にも、そのままショーが終わらないような余韻を残したいなと思ったんです。

 主婦向けバラエティの体裁にしたのは、角が立つ言い方かもしれませんが、無味無臭を目指したかったからです。自分が一番興味を持てないような番組で余韻が残っているのが一番いいんじゃないかと。見終わったあとのことを想像したときの気持ちを逆算したときにそう考えました」

関連記事

トピックス

野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
8月20日・神戸市のマンションで女性が刺殺される事件が発生した(右/時事通信フォト)
《神戸市・24歳女性刺殺》「エレベーターの前に血溜まり、女性の靴が片方だけ…」オートロックを突破し数分で逃走、片山恵さん(24)を襲った悲劇の“緊迫の一部始終”
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
決勝の相手は智弁和歌山。奇しくも当時のキャプテンは中谷仁で、現在、母校の監督をしている点でも両者は共通する
1997年夏の甲子園で820球を投げた平安・川口知哉 プロ入り後の不調について「あの夏の代償はまったくなかった。自分に実力がなかっただけ」
週刊ポスト
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン