『このテープ』では気鋭のホラー作家とタッグを組んで構成を考えた
『奥様ッソ』の翌年、同じ枠で放送されたのが『テレビ放送開始69年 このテープもってないですか?』だ。テレビ局には保存されていない貴重な番組の録画テープを視聴者から募集・発掘する番組という体裁。番組の録画テープを振り返り永田、いとうせいこうと俳優の井桁弘恵がコメントをする形で番組は進行するが、テープを見る出演者の言動が徐々におかしくなっていく。
「最近のテレビに昭和を振り返る番組が非常に多いというのが着想になっているかもしれないです。それと前から好きだった“呪いの伝播”という要素を組み合わせた形ですね」
構成にはホラー作家の梨が入っている。梨とは、作品が世に出るのは前後するが、Aマッソのライブ『滑稽」で声をかけたのが先。『このテープ』の企画が立ち上がった時、これも梨が作る作品の世界観に合致すると思い起用した。
「梨さんがnoteで発表した『瘤談』は、自分で考えて補完する部分が多い作品で、それを読んだときに『このテープ』をお願いしたいと思いました。『滑稽』のほうは自分で補完してもらうよりかは、作り込んだものにしたかったので、むしろ『このテープ』のほうが、梨さんの力をより活かせるのかなと。
僕との役割分担は曖昧というか、梨さんに聞いてもらってもたぶん同じようにおっしゃると思うんですけど、2人で雑談のように色々喋って組み立てていったので、どこまでが梨さんでどこまでが僕の部分なのかっていうのがもうわからないっていうのが正直なところですね。竹村武司さんたちに作ってもらったバラエティのパッケージをどのように崩していって、呪いが伝播していく雰囲気を作るかというのを話し合っていました」