卒業生には山極寿一・元京都大学総長なども
卒業生の介入は「生徒の自主性尊重という校風に反している」の声も
この署名騒動を複雑な心境で見つめるOBもいる。同校卒業生で作家・書評家の杉江松恋氏が語る。
「正直にいえば、僕自身はクラス替えの導入に賛成なんです。進学校なので陰湿なイジメはなかったけど、やっぱりクラス内にヒエラルキーやカーストはあって。人間関係のギスギスが3年間続くので、息苦しさがありました。
生徒たちによる自主的な反対運動は、卒業生として応援します。でも、卒業生が出張って署名活動までするのはどうなのか。伝統の死守だけで生徒が成長するわけではないし、それこそOBの介入は生徒の自主性尊重という校風に反していると思う」
杉江氏によれば、国立高校での生徒と学校側の対立は珍しくなかったという。
「私が在校中は、体育祭の開催に反対する一部の生徒たちが校庭に木を植えて妨害したこともありました。夜中に教師が木を掘り起こすはめになってね。それくらい生徒と先生の関係はピリピリしていたし、その緊張感こそ国高らしさだと思う。卒業生が立ち入らなくても、問題があれば彼らは自分たちで闘うでしょう。国高生の芯の強さを甘く見てはいけない」(杉江氏)
今回の騒動について国立高校に聞いたが「お答えできることはありません」(副校長)との回答。卒業生の母校愛は生徒を守ったのか、それとも……。
※週刊ポスト2023年12月1日号