ヒロイン・スズ子を演じる趣里(写真/NHK提供)

ヒロイン・スズ子を演じる趣里(写真/NHK提供)

『とと姉ちゃん』以来となる趣里との共演

 これまで朝ドラでも数々の個性的なキャラクターを演じており、趣里との共演もあった。

「『まれ』(2015年)ではヒロイン(土屋太鳳)の母親のママ友で、ダメな夫(塚地武雅)の尻を叩く妻を演じていて、今回のチズに通じるような役柄でした。

『とと姉ちゃん』(2016年)では出版社で働くヒロイン(高畑充希)や編集長(唐沢寿明)に強烈な嫌がらせをする洋裁学校の校長役。脇役でしたが趣里さんも出版社の新入社員役で出演していたので、それ以来の朝ドラ共演ですね」(田幸氏)

 家族が散り散りになるなかで、スズ子にとって下宿先は帰るところであり、本音を話せる場所だ。そんな下宿でチズと食卓を囲む団らんは、視聴者にとっても束の間の笑って安らげるシーンになっている。ふせはチズについてこう語っている。

「チズの下宿は、来るものを拒まず、来たら全員が家族、というようなイメージでとてもオープンです。(中略)そんなおせっかいができるいい時代なんだと思います。今なら、下宿のおばさんと一緒にご飯を食べるなんて、若い人は嫌がるでしょう。チズの役割は、スズ子にとって『東京のお家』であって、そこで見守るということだと思っています」(『ブギウギ』サイトのインタビュー)

 下宿の食事は、チズの夫・吾郎(隈本晃俊)が作っている設定だが、撮影では実際に関東風味付けの美味な料理が出るため、出演者たちは皆で食べているという。懐かしくも温かい下宿先のチズは、私たちもほっとさせてくれる。

※週刊ポスト2023年12月8日号

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