(時事通信フォト)

ハイヒール姿で闊歩。『ロングバケーション』出演当時の山口智子(時事通信フォト)

「オフィス街でもヒール音が聞こえなくなった」

 ハイヒールのことを脳裏にふわふわと浮かせている最中、映像作品の音響を担当する知人とこんな会話があった。

私:TVerで平成のドラマを見ていて気付いたんだけど、今のドラマではヒロインがもうほぼハイヒールを履いていないんだよね。
知人:そりゃ、ふつうの女性も履いていないでしょう。俺、音響だから街中でもよく“音”に耳をすませているんだけど……特にコロナ禍以降はオフィス街を歩いていても、ヒール音が聞こえなくなった。みんな、ヒールに疲れていたんだろうと思うよ。

 2019年の秋、反パンプス運動と称して「#KuToo」というハッシュタグが、X(旧Twitter)で拡散されたことを思い出す。数年前まで働く女性は職場でヒールのある靴を履くことが当たり前のように求められ、通勤時の風景からはヒール音が聞こえてくるのが一般的だった。「それが苦痛である」という女性たちからの訴えが起きた。

 確かにヒールのある靴は歩きにくいし、走ることは難しい。東日本大震災の発生時は、帰宅困難となった人たちが、スニーカーを買い求めて帰宅したことを思い出す。皆「おしゃれは我慢!」をしなくなり、実用性を求めたのだと思うと納得だ。

 事情はアメリカでも変わらない。市場調査を手掛けるNPDグループによると、コロナ禍でハイヒールの需要が急減。ドレスシューズの2020年第2四半期の売り上げは、前年同期比で71%も減少した。

 日本国内20店舗の百貨店を対象にした2020年8〜12月の売れ筋調査でも、「主力だったパンプスの売り上げは前年同期比40%減と大幅に減少」(高島屋日本橋店)と紹介されている(WWD JAPANオンライン版2021年2月26日付「通勤シューズはフラットパンプスが定着 在宅勤務で“脱ヒール”が進む」)。当時、これは各メディアでも話題を呼んだ。

知人:実際、ヒール音は今使うとしたら、こう……ちょっと緊張感を持たせるような感じの効果音に使うかなあ。あとは気の強い女性とか、女性官僚とか。
私:私はドラマでヒール音がしたなあ、と思うと、就活のシーンだったりするんだよね。秋ドラマだと『コタツがない家』(日本テレビ系)で、経営者役の小池栄子が履いていたパンプスもヒール高は5センチあるかないかだった。
知人:もうそんなもんだよ。衣装部屋でもハイヒールを見かけなくなった。

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