◆わずか1か月で8人の地方議員が離党

記者会見の様子。この記者会見が物議を醸すことに

林県議の記者会見の様子。この記者会見が物議を醸すことに。右が志賀氏、左が新古氏。

 和歌山において林県議は、維新の議員の中では山野市議と並んで最古参。維新で和歌山支部を立ち上げたのは、林県議と山野市議の2人である。いわば盟友関係にあるはずだった。しかし、昨年8月、和歌山市議会議員の補欠選挙に関係性を悪化させた原因があるという。佑美市議はこの補選で初当選している。

「妻の佑美が候補者となると、『キチンと審査できてない』『妻の出馬は不可』と山野市議らが不満を漏らしていた」(林県議)

 こうした経緯も重なり、妻の佑美氏は当選当初から立場が危うかったと志賀市議も続けて言う。

「林(佑美)市議はほかの市議らからイジメのような扱いを受けていた。『4年間、意地悪されるのが嫌だ』と嘆いていましたから。今年4月の衆院の補選がなかったら彼女は議員を辞めていたかもしれない」

 冒頭の通り、林県議は10月27日に離党。12月5日には林県議の記者会見に参加した志賀市議、新古市議についてもそれぞれ除名と離党勧告を決めた。その後、新古市議も12月14日に離党届けを提出した。

 林県議の主張について、維新の和歌山県総支部に見解を聞くと、林県議から解任請求を受けている代表の井上衆院議員が書面で回答した。今年5月に林県議も出席した総支部全体会議を行なった際に、「もし身を切る寄付を何らかの理由で行なっていない者がいれば相談するように」と指示が下され、その後、書面でも通達を送ったという。

〈寄付についての報告を所属議員に求めたところ、林隆一議員は何らの相談もなく唐突に500万円を寄付したという証明を総支部事務局員に提出したのが事実だと認識しています。指示に従わず、何らの相談もなく、任期終了後に前任期分の領収書の提出を求められると唐突に寄付を行ない、それをもって寄付を行なったのだから問題がなく処分は不当だと強弁されていることは大変遺憾です〉

 つまり、林県議の寄付は認めるが、指示やルールに従わなかったというのが離党勧告の理由のようだ。また、林県議への離党勧告に関わった一部の維新の議員らが寄付をしていなかったとの主張には〈当時のルールに従った金額以上の寄付を行なっていることを領収書等により確認済みです〉と回答した。

 この和歌山から始まった“維新離れ”は香川や神奈川、長崎と全国に波及し、地方議員の離党が相次いでいるのも事実だ。11月下旬には、長崎県総支部に至っては3名が「執行部によるパワハラで離党する」と記者会見を開いたばかり。林県議の離党からわずか1か月強で8人の地方議員が離党したことになる。しかも、和歌山では離党の動きがいまだに燻っているともいう。

 ただでさえ大阪・関西万博の建設費増額をめぐり、矢面に立たされている維新。有権者はこの身内争いにどう断を下すのか──。

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