芸能

高田文夫氏、正月休みにオススメする“大衆芸能本三昧” 〈漫才〉から〈テレビ史〉まで

高田文夫氏が正月休みにオススメする“大衆芸能本三昧”(イラスト/佐野文二郎)

高田文夫氏が正月休みにオススメする“大衆芸能本三昧”(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、正月休みに読むのにぴったりな大衆芸能本について綴る。

 * * *
 辰年。新年一発目、春までには必ず一回タツ(何を情けない話をしているのか)。正月休み、せめてこの時だけはゆっくり本を読みましょう。〈漫才〉〈テレビ〉〈沢田研二〉〈寄席〉〈任侠映画〉〈大河〉と私の大好きな大衆芸能だけを濃厚に書きしるした本が次々と送られてきたり書店でみつけたり。

 何よりおどろいたのは1996年生まれと若過ぎる著者(神保喜利彦)がコアに奥深く「東京漫才」だけを掘り下げた『東京漫才全史』(筑摩書房)。本によると漫才という芸が東京に持ち込まれたのは大正初期だそうな。漫才協会の外部理事をつとめる私すら知らない知識がギッシリ。戦前の漫才から戦後我々が幼少期に見たトップ・ライト、てんや・わんやを経て「漫才ブーム」のツービート、セント・ルイス、今の爆笑問題、サンドウィッチマン、ナイツ。それは見事に調べあげ書かれている。脱帽。「東京漫才」を通しでこんなに書ける人はいなかった。圧巻の筆力。こんな若い人が出てきてくれると私も少し、ホッ。

 テレビ番組について様々書いてきたものを一冊にした『発掘テレビ秘話 昭和編』(論創社)加藤義彦。バラエティ、ドラマ、アニメと章分け。みんなが忘れているようなポイントを取りあげ、読んでて私が逆に想い出す。伝説の演出家・久世光彦で、1982年いきなり飛び出したビートたけしを主演に『刑事ヨロシク』。このドラマを覚えているのは宮藤官九郎と太田光しかいない。この番組のプロデューサー小野鉄二郎が語っていて「たけしさんの毒舌と瞬発力のあるアドリブ」「毎回出来上がってきた脚本に高田文夫さんがギャグを書き足し、さらに本番でそれをたけしさんが自分流にアレンジしていったんです」とあり「なんとも独創的なドラマの作り方ではないか」とある。私はなんか、いつも久世さんに怒鳴られていたのを想い出すアハハ。

 新書にして500ページを越える『沢田研二』中川右介(朝日新書)、ぶっちぎりの情報量で振り返る永遠のトップスターの闘いの軌跡。帯に「ジュリー、あんたの時代はよかった!」。

 女優・南沢奈央がはまった落語の深さと楽しさ『今日も寄席に行きたくなって』(新潮社)、私も燃えに燃えたあの時代『東映任侠映画とその時代』山平重樹(清談社)、今や大河ドラマを語ったら日本でも3本の指に入ってしまう松村邦洋が2024年のNHK大河を解説する『松村邦洋まさかの「光る君へ」を語る』(プレジデント社)をいち早く出版。松村の口から「源氏物語」なんて言葉きいたことないけど大丈夫か?

※週刊ポスト2024年1月12・19日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン