芸能

“銀幕スター”小林旭が令和の芸能界を語る「テレビに出ることは御免被りたい」「脇役程度の連中が主役を張っている」

令和芸能界への怒りと失望を小林旭が語った

令和芸能界への怒りと失望を小林旭が語った

『仁義なき戦い』や『渡り鳥』シリーズで知られる銀幕スター・小林旭(85)。昭和芸能の熱量を肌で知る数少ないレジェンド俳優だが、テレビ、映画でその姿を見ることはほとんどなくなった。スクリーンに圧倒的な存在感を焼き付けてきた「マイトガイ」は、なぜ表舞台から距離を置いたのか──令和芸能界への怒りと失望を小林が語った。【全4回の第1回】

 * * *
 最近はほとんどテレビを観ないね。たまにつけるのはゴルフの中継くらいだ。

 昨今のテレビは吉本興業をはじめとするお笑いばかりで、“安かろう悪かろう”の世界になってしまった。スッポンポンになってお盆で前だけ隠して笑いを取るような輩がいるけど、あれは芸でもなんでもない。ただの酔っ払いの腹踊りだ。それで金をもらおうなんて、恥ずべきことだ。

 昔よりタレントのギャランティが安くて使い勝手がいいから、テレビはどんどん彼らを起用する。目立つことばかり考えて、人間性もなければ美学もない。ああいうキャスティングを見直さない限り、テレビは立ち直らないだろうね。

 俺も『徹子の部屋』(テレビ朝日系)とか、テレビからのオファーはちょくちょく来るけど、断わってる。スタジオで中身のないお喋りをしても、視聴者に響きはしない。

 ドラマにしても、もっと制作陣の本気を感じたいんだ。NHK大河の『どうする家康』にしたって、主役(松本潤)が軽すぎて、まるで家康に見えない。俺が大河の『琉球の風』(1993年)で家康役をやった時は、必死で人物像を掘り下げて演じたけど、今はアイドルを出せば視聴率を稼げるという安易な考えで制作してるから、重みのないドラマばかりだ。

 昔話で恐縮だけど、俺が20代で『銀座旋風児』や『渡り鳥』シリーズで主役を張った時は、撮影スタッフから「あんたの双肩に全員の生活がかかってんだぞ」と釘を刺されたもんだ。重圧の中で、なんとかお客さんを惹きつける演技をしようと死ぬ気で努力した。裕ちゃん(石原裕次郎)にしろ、勝ちゃん(勝新太郎)にしろ、俺と同時期に主役を張った役者はみんな覚悟が違ったよ。

 音楽の世界もだいぶ変わったね。若い連中がサングラスをかけて平気でテレビに出ている。ゴツゴツしたネックレスや指輪、ピアスを付けて、流行に乗って目立とうとするだけだ。

 アイドルも変な髪の色をしたのが大勢でワーワー出てきて、器械体操みたいなダンスをしてる。ピンで出てきて、「ああ、こいつはカッコいいな」と思わせる奴がいないよ。

 こうやって苦言を呈すると「老害だ」とか「偉そうなこと言いやがって」と睨まれるから、みんな口をつぐむんだ。俺のように堂々とモノが言える役者はもういない。昭和の芸能界を肌で知り、今日まで生きてきた人間は俺だけになってしまった。

 本来なら通行人や脇役程度の連中が主役を張っている。俺はもう、そんなテレビに出ることは御免被りたいよ。

(第2回に続く)

※週刊ポスト2024年1月12・19日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

日本のブライダルファッションの先駆け的存在、桂由美さん
《芸能人も多数着用》桂由美さんが生前嘆いていた「ナシ婚」 ウエディングドレスで「花嫁を美しく幸せにしたい」強い思い
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
小野寺さんが1日目に行った施術は―
【スキンブースター】皮下に注射で製剤を注入する施術。顔全体と首に「ジュベルック」、ほうれい線に「リジュラン」、額・目尻・頰に「ボトックス」を注入。【高周波・レーザー治療】「レガートⅡ」「フラクショナルレーザー」というマシンによる治療でたるみやしわを改善
韓国2泊3日「プチ整形&エステ旅行」【完結編】 挑戦した54才女性は「少なくとも10才は若返ったと思います!」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン