永井豪記念館で販売されていた輪島塗の作品も飾られていた

永井豪記念館で販売されていた輪島塗の作品も飾られていた

先生がくれた12色のクレヨン

 僕にとって漫画家の原点となった手塚治虫先生の『ロストワールド』を読んだのも輪島にいた3~4歳の頃でした。旧制四校(金沢大学)で寮生活をしていた兄貴が持って帰ってきたんです。港町だから船の絵を描いたこともあったけど、手塚先生の漫画に夢中で、キャラを真似て描いていましたね。

 小学1年生の夏に、突然東京に引っ越すことになりましたが、僕がいつも絵を描いていたので、学校の先生が12色のクレヨンをくれたんです。すごく優しい女性の先生で、クレヨンは東京に持って行き、すり切れるまでずっと絵を描きました。

 東京に出て、22歳で漫画家デビューすると、忙しさもあって輪島にはなかなか帰れなかった。やっと帰れたのは、上京して35年ほど経った40代前半のことでした。妻と一緒にレンタカーを走らせて行くと、街並みの面影がたくさん残っていた。当時住んでいた家の中も見せてもらったり、「小学校6年生の時に亡くなったお父さんに会えるんじゃないか」という気がしたのを覚えています。一緒に歩いた道とか、足跡を辿りながらね。子供の目線で広いと思っていた道や家が、大人になると“小さかったんだな”と感じましたね。

 最後に輪島に行ったのは、記念館が10周年を迎えた5年前。亡くなった水木一郎さんとトークショーをしました。今年は15周年で、夏にイベントも予定していました。今となってはそれも叶いませんが、輪島と能登半島の復興を心から願っています。

 漫画は、時に心の拠りどころになったり、人を元気づけ、救いになることがあると思います。そんなエネルギーになれば、何より嬉しいです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年、第27回参議委員議員選挙で使用した日本維新の会のポスター(時事通信フォト)
《本当に許せません》維新議員の”国保逃れ”疑惑で「日本維新の会」に広がる怒りの声「身を切る改革って自分たちの身じゃなかったってこと」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《広陵高校暴力問題》いまだ校長、前監督からの謝罪はなく被害生徒の父は「同じような事件の再発」を危惧 第三者委の調査はこれからで学校側は「個別の質問には対応しない」と回答
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン