いま本当に備えるべき「最新防災グッズ」ランキング
授乳に限らず、他者と共同生活を強いられる中で小さな子供がいる母親は、常に緊張状態にさらされる。
「シングルマザーの私は東日本大震災のとき、7才と5才の子、そして自分の母を連れて4人で避難しましたが、母は家の片づけで翌日には避難所を出たので、避難所で頼れる人や相談できる人がおらず、心細い思いをしました。シングルに限らず、熊本地震の際も子育て世代は夫が消防団など地域の活動にかり出されて日中は避難所におらず、母親がひとりで子供や両親の面倒をみることが多かった。
私もやんちゃ盛りの子供たちが周囲の被災者に迷惑をかけるのではないかと気になって、車中泊をしたのは一度や二度ではありません。避難所にいれば物資はもらえますが、周囲に気を使うストレスの方がはるかに耐えがたかった」
雨や風をしのげて最低限の安全が確保され、食料と水も支給される。しかしそれ以上のケアや支援は“必要最低限”の枠を外れてしまうが故に被災者の「自己責任」——それが避難所生活を取り巻く現状なのだ。
榛沢さんはそうした状況を「日本は避難所後進国です」と厳しく断ずる。
「『災害関連死』を減らすために、いち早く環境の改善に取り組まなければならないはずなのに、日本における避難所の光景は100年前の関東大震災から何も変わっていません。
欧米では災害時の避難所には女性用トイレを男性の3倍設置するなどの基準が法律によって定められており、ベッドと冷暖房が完備された大型テントが家族ごとに割り当てられていたり、子供の遊具やコインランドリーが完備されている避難所もありました。日本は災害大国と自負しているにもかかわらず対策が遅れており、そのしわ寄せがすべて女性にいっている。いまの社会の縮図ともいえます」
※「最新防災グッズ」ランキングは以下の「防災と医療の専門家」11人に「いま備えておくべき防災グッズ」についてカテゴリ別にベスト3を挙げてもらい1位を10点、2位を9点、3位を8点として計上。10点以上を獲得したものを掲載した。
岡部梨恵子さん (防災アドバイザー)、岡本裕紀子さん(防災アドバイザー)、榛沢和彦さん(新潟大学特任教授)、近藤須雅子さん(美容コラムニスト)、清水聡子さん(NPO法人プラス・アーツ)、高橋怜奈さん(産婦人科医)、辻直美さん(国際災害レスキューナース)、冨川万美さん(NPO法人ママプラグ アクティブ防災事業代表)、本間麻衣さん(株式会社ファンクション社長)、柳原志保さん(安心・防災プランナー)、和田隆昌さん(災害危機管理アドバイザー)
(後編に続く)
※女性セブン2024年2月15日号