国内

【被災と女性】災害時に生じる“ジェンダー格差” 多くの女性が不便やがまんを強いられる避難所は「日本社会の縮図」

女性はエコノミークラス症候群を発症しやすい(時事通信フォト)

女性はエコノミークラス症候群を発症しやすい(時事通信フォト)

 発生から1か月が経過した能登半島地震だが、現在も約1万5000人が避難生活を送っているとされている。余震への恐怖や今後の生活への不安、そしてつのる寒さに震えながらの避難生活では、女性にかかる負担や苦しみが重くなりがちだ。厳しい現実を、まずは知ってほしい。【前後編の前編】

《矢田郷地区コミュニティセンターへ約300名分の除菌スプレーボトル、コロコロクリーナー、ゴミ袋や女性用下着、子供用衣服を。御祓地区コミュニティセンターへ約50名分の男性用下着や靴下を。志賀町八幡公民館には約50名分の衣類と衛生用品、お薬やペット用品、ドーナツなどをお届け致しました》(紗栄子のインスタグラムより)

《お水を自由に使えない事や、食べ物の偏りなどで、女性の皆さんは肌荒れで悩まれている方も沢山いらっしゃいました。(中略)化粧品のお届けと避難所で出来る運動や美容の講座 温かい食べ物の炊き出しをさせて頂きました》(MEGUMIのインスタグラムより)  

 お正月のお祝いムードを一転させた、あまりにも痛ましい能登半島地震。  極寒の地で、息が詰まるような暮らしを余儀なくされる被災者たちに向け、タレントの紗栄子(37才)やMEGUMI(42才)ら女性芸能人が行った細やかな支援が注目を集めている。

 2011年の東日本大震災で避難生活を送った経験を持つ50代の女性が話す。

「幸いにも比較的被害が少ない地域で、1週間に満たない避難生活でしたが、それでも不便なことはたくさんありました。特につらかったのは仕切りや更衣室がなく着替えるときに困ったことと、肌が乾燥して唇がひび割れて痛んだこと。

 だけど“物資を支給してもらえるだけ、被害が少なかっただけありがたい”という雰囲気の中で『女性用の更衣室が欲しい』『生理用ナプキンが足りない』『化粧水とリップクリームが欲しい』とは言えなかった。

 だから今回、ひどい状況の中でもそうした女性への支援があったという事実に、少し救われた気持ちになりました」

 災害時の避難生活において女性だけが感じるストレスやリスクは、極限の状況下であることを言い訳に後回しにされ続けてきた。このたびの能登半島地震でも、過去の教訓が生かされたとは言い難い状況が散見している。もしまた想定外の災害が起きたとき、女性たちに何が起きるのか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

オーナーが出入りしていた店に貼られていた紙
「高級外車に乗り込んで…」岐阜・池田温泉旅館から“夜逃げ”したオーナーが直撃取材に見せた「怒りの表情」 委託していた町の職員も「現在もまだ旅館に入れない」と嘆き
NEWSポストセブン
記者の顔以外の一面を明かしてくれた川中さん
「夢はジャーナリストか政治家」政治スクープをすっぱ抜いた中学生記者・川中だいじさん(14)が出馬した生徒会長選挙で戦った「ものすごいライバル候補」と「人心を掴んだパフォーマンス」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博内の『景福宮』での重大な疑惑が発覚した(時事通信)
《万博店舗スタッフが告発》人気韓国料理店で“すっぱい匂いのチャプチェ”提供か…料理長が書いた「始末書」が存在、運営会社は「食品衛生上の問題はなかった」「異常な臭いはなかった」と反論
NEWSポストセブン
63歳で初めて人生を振り返った俳優・小沢仁志さん
《63歳で初めて人生を振り返った俳優・小沢仁志》不良役演じた『ビー・バップ』『スクール☆ウォーズ』で激変した人生「自分の限界を超える快感を得ちまった」
NEWSポストセブン
釜本邦茂さん
サッカー界のレジェンド・釜本邦茂さんが「免許返納」密着取材で語っていた「家族に喜んでもらえることの嬉しさ」「周りの助けの大きさ」
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがニューシングル『Letter』をリリース(写真・左/AFLO、写真・右/Xより)
羽生結弦の元妻のバイオリニスト・末延麻裕子さん、“因縁の8月”にニューシングル発売 羽生にとっては“消せない影”となるのか 
女性セブン
中学生記者・川中だいじさん(14)が明かした”特ダネ”の舞台裏とは──
「期末テストそっちのけ」中学生記者・川中だいじさん(14)が抜いた特ダネスクープの“思わぬ端緒”「斎藤知事ボランティアに“選挙慣れ”した女性が…」《突撃著書サイン時間稼ぎ作戦で玉木氏を直撃取材》
NEWSポストセブン
釜本邦茂さん
メキシコ五輪得点王・釜本邦茂さんが語っていた“点取り虫”になる原点 “勝負に勝たなければならない”の信念は「三国志」に学んでいたと語る
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴行動画に批判殺到の花井組》社長らが書類送検で会社の今後は…元従業員は「解体に向けて準備中」、会長は「解体とは決まっていない。結果が出てくれば、いずれわかる」と回答
NEWSポストセブン
雅子さまのご静養に同行する愛子さま(2025年8月、静岡県下田市。撮影/JMPA) 
愛子さま、雅子さまのご静養にすべて同行する“熱情” そばに寄り添う“幼なじみ”は大手造船会社のご子息、両陛下からも全幅の信頼 
女性セブン
猫愛に溢れるマルタでは、動物保護団体や市民による抗議活動が続いているという(左・時事通信フォト)
《深夜に猫地面にたたきつける動画》マルタで“猫殺し”容疑で逮捕の慶應卒エリート・オカムラサトシ容疑者の凶行と、マルタ国民の怒号「恥を知れ」「国外に追放せよ」
NEWSポストセブン
大神いずみアナ(右)と馬場典子アナが“長嶋茂雄さんの思い出”を語り合う
大神いずみアナ&馬場典子アナが語る“長嶋茂雄さんの思い出”「こちらが答えて欲しそうなことを察して話してくれる」超一流の受け答え
週刊ポスト