国内

接客業で店から求められるSNS発信 増収に見合わないデメリットや犯罪被害に悩まされる女性従業員たち

2024年1月12日、男が女性を人質に立てこもっていたホテルに横付けされた車両。警察の説得ののち男性は逮捕され、女性は保護された(時事通信フォト)

2024年1月12日、男が女性を人質に立てこもっていたホテルに横付けされた車両。警察の説得ののち男性は逮捕され、女性は保護された(時事通信フォト)

 SNSが普及し、有名人もこぞってアカウントを作成し発信するようになり、ライブやイベントへ行かずとも直接、言葉を交わしてコミュニケーションをとれる存在になった。同時にトラブルも激増した。最近は、このトラブルがサービス業に就く人たちにも広がり、店員の名札に本名をフルネームで記載するのをやめる動きが広がっている。一方で、客と親密なコミュニケーションをとることが業務の一環となっている接客業では、予防策を講じるどころか危険が増している。ライターの宮添優氏が、被害が続いても問題が論じられない業界で働く女性たちの悩みをレポートする。

 * * *
「この2~3年で、都内の風俗業で働く女性が被害者となる事件が相次いでいます。2021年には立川市で、2022年は台東区吉原で女性が殺害されました。つい先日も、台東区鶯谷のホテルに男が立てこもる事件が起きましたが、人質となった女性(のちに無事解放)は派遣型風俗店で働く女性でした」

 大手紙社会部記者がこう振り返るように、風俗業で働く女性が殺害されたり、傷つけられる事件が都内に限らず頻発している。もっとも、こうした事件の場合、被害者女性の属性が報じられることの影響を警察やマスコミが考慮し、報道自体が抑制的になる傾向が根強い。一部SNS上などでは「被害者は××の店舗で働いている」などと真偽不明の情報が飛び交ったりもするが、結局のところ真相は曖昧になり、事件への関心や被害者への同情も薄くなる。立てこもり事件を取材した大手民放記者も次のように吐露する。

「鶯谷の事件でも、被害者女性の名前はおろか職業、被疑者との関係はほぼ伏せられました。”なんだ風俗関連の事件か”という空気が記者やカメラマンだけでなく、世論にも醸成され、無かったことのように闇に葬られてしまう。この数年、こうした傾向に拍車がかかっているような気すらします」(民放記者)

 だからなのか、なぜこうした事件が相次ぐのかについて、表立って議論される機会は皆無に近い。ただ、どんな状況であっても、仕事を理由に「被害に遭っても仕方ない」と結論づけてよいわけがない。

客とのコミュニケーションの形が変わった

 それでも、界隈で事件が相次ぎ、さすがに実際に仕事で関わる関係者たちは防犯に努めているのかと思ったら、実情は真逆であるという。そう訴えるのは、埼玉県内で彼女たちが働く店舗を運営する会社の役員、森本大輔さん(仮名・40代)だ。

「表向きはタブーだとされている、客に恋愛感情を匂わせる”色恋営業”などを行い客から逆恨みされた挙句に女性が被害に遭う、という事例も確かにある。しかし、それだけが店で働く女性が狙われる事例が増えた原因ではないと思います。紹介サイトの隆盛や、SNSを通じて女性たちが客と直接連絡を取り合ったりすることで、女性と客の距離が極端に近づき過ぎてしまったことが最大の要因ではないでしょうか。働く女性たちは間違いなく、以前より危険な状況に遭遇する可能性が高まっています」(森本さん)

関連記事

トピックス

もうすぐ双子のママになる。Numero.jpより。
Photos:Mika Ninagawa
中川翔子3年にわたる不妊治療と2度の流産を経験 。 双子の男の子のママになる妊婦姿を披露して話題に
NEWSポストセブン
錦織圭とユニクロの関係はどうなるか(写真/共同通信社)
「ご本人からの誠意ある謝罪があった」“ユニクロ不倫”錦織圭、ファーストリテイリング広報担当が明かしたスポンサー契約継続の理由
週刊ポスト
趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
岐阜の「池田温泉旅館 たち川」が突然の閉鎖、事業者が夜逃げした(左は旅館のInstagramより)
【スクープ】岐阜県の名所・池田温泉の人気旅館が突然の閉鎖 町が運営委託した事業者が“夜逃げ”していた! 町長からは228万円の督促状、従業員が告発する「オーナーの計画」 給料も未払いに
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏は2017年にダブル不倫が報じられた(時事通信フォト)
参院選落選・山尾志桜里氏が明かした“国民民主党への本音”と“国政復帰への強い意欲”「組織としての統治不全は相当深刻だが…」「1人で判断せず、決断していきたい」
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
止まらない「オンカジドミノ退社」フジテレビ社内で話題を呼ぶ
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン