これまでのイメージを覆す道枝の好演に加え、【マルス】のメンバーには、板垣李光人、吉川愛、泉澤祐希、井上祐貴ら、この数年、若者を題材にしたドラマにはなくてはならない演技派の若手俳優が勢揃いしている。
それでもまだ、中高年の視聴者にとってはチャンネルを合わせる理由にはならないだろうが、前述の江口洋介に加え、岩松了、野間口徹、山口紗弥加、戸塚純貴ら曲者俳優らがレギュラー出演するうえ、一話完結のゲストに、これまでテレビ朝日の連続ドラマを支えてきた室井滋や勝村政信、さらには尾美としのり、鶴見辰吾、片岡礼子ら、個性派俳優が次から次へと出てくるのである。
この顔ぶれを見れば、M3層やF3層の視聴者たちも「自分たちが見るドラマではない」という判断はできなくなるのではないか。
プロデューサーの田中真由子氏は『朝日新聞』の「撮影5分前」というコラムの中で、大人や大人が作ったルールに抵抗したい思いに駆られた青春時代を振り返り、「あの頃、私たちは武器を持っていなかった。素手で闘いを挑んでいくしかなかった」と綴っている。
だが今の若者は世界に向けて声をあげられるSNSを武器に持ち、「大人たちよりうまく使いこなせている」とも記し、「幅広い年代の方に熱くなってもらえる作品を目指している」と結んでいた。
SNSをポジティブに使いこなし、悪事を働く大人たちをこらしめる【マルス】をいつの間にか応援している自分がいる。“子ども騙し”の一言では片づけられないドラマなのである。
一足お先に私は熱くなっている。『マルス‐ゼロの革命-』、まだ間に合う。
◆山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!+』(メ~テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。