国際情報

【米大統領選・トランプ氏再選シミュレーション】佐藤優氏が予測する“大混乱”「米国は世界の紛争から手を引き、各地で勢力図が書き換えられる」

もしトランプ氏が大統領に再選したら、何が起きる?(写真/AFP=時事)

もしトランプ氏が大統領に再選したら、何が起きる?(写真/AFP=時事)

 11月の米大統領選に向け、トランプ前大統領(77)が予備選での快進撃を続けている。「予測不能」とも称されるトランプ氏が大統領に返り咲いたら何が起きるのか。元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏は、「世界は“もし、トランプが大統領になったら”という前提で動いている。日本も遅れるべきではない」と警告する。

 * * *
 なぜトランプ再選後の世界を見据えて今から動かなければいけないか。それは、トランプが大統領になれば、“世界の変化するスピード”が上がるからです。

 トランプは、「米国はもう世界の警察官の役割を務めない」という立場。大統領になれば、特別な思いを持つイスラエルへの支援は強化するだろうが、ウクライナ戦争をはじめそれ以外の紛争からは手を引くだろう。北朝鮮や中国に対する米国の軍事的な強硬姿勢も転換する。トランプは戦争を好まないから、短期的に世界は安定する。

 ところが、そうやってトランプが内向きの政策を展開し、世界での存在感を低下させると、各地で勢力図の書き換え、勢力均衡線の引き直しが行なわれる。それによる混乱は、戦後秩序の転換というレベルではない。

 まず欧州では、トランプが手を引くことにより、ウクライナ戦争は早い段階で停戦するだろう。ウクライナに単独での戦争継続能力はなく、今は米国の軍事支援で戦っている状況だからだ。トランプは大統領になる前からロシアのプーチン大統領と接触して、就任した瞬間に停戦合意が結ばれるよう要請する可能性すらある。

 しかし、多くの犠牲者を出しているウクライナの国民からすれば、大統領が交代した途端に米国が手を引いて停戦となったら、はしごを外されたと恨む。ウクライナが反米国家に転じる可能性すらある。

 また、プーチンはウクライナ戦争を米国との戦いだと思っているから、「米国に勝った」と国内でアピールする。

 EUが急遽ウクライナに500億ユーロ(約8兆円)の支援を決めたのは、トランプの大統領就任に備えているからだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
このほど発表された新型ロマンスカーは前面展望を採用した車両デザイン
小田急が発表した新型は「白いロマンスカー」後継だというけれど…展望車復活は確定だが台車と「走る喫茶室」はどうなる?
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン