スポーツ

元騎手・蛯名正義氏が振り返る「僕をステップアップさせてくれた多くの調教師との出会い」

2月18日の東京では競馬学校の同期生である武豊騎手の手綱でローリーグロリーが初勝利。2人揃ってウイナーズサークルへ向かう

2月18日の東京では競馬学校の同期生である武豊騎手の手綱でローリーグロリーが初勝利。2人揃ってウイナーズサークルへ向かう

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動中だ。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、調教師との出会いについてお届けする。

 * * *
“仰げば尊し”の季節がやってきました。今年関東では中野栄治先生、高橋裕先生、小桧山悟先生が、関西でも、重賞を勝たせていただいた安田隆行先生、加用正先生のほか、飯田雄三先生、松永昌博先生が3月5日を最後に定年となります。

 特に中野先生にはトロットスターのスプリントGI2勝など重賞を5つも勝たせていただきました。でもオールドファンが思い出すのは、先生が騎手だった1990年のダービーでしょう。僕はまだデビュー4年目で、あの日は最終レースに騎乗があるだけでした。検量室横のジョッキールームのテレビでアイネスフウジンの逃げ切り勝ちを見て、さあ、レースだぞと思った時に、大観衆による“中野コール”が聞こえてきました。ああ、ダービーってすごい、こんな風にして祝福してくれるんだと驚いたものです。この日東京競馬場には20万人近いお客さんが来場。これはいまでも競馬場来場者の世界記録になっています。

 僕は本当に調教師の先生との出会いに恵まれていたと思います。まず、自分で選んだわけではないのですが、競馬学校卒業後に入った矢野進厩舎。1年目に30勝した後、矢野先生は「ウチの厩舎でも走る馬だったらいいけれど、走らない馬だったら乗らなくていい」と融通を利かせてくれたし、知り合いの調教師に声をかけていろいろ乗せてもらいました。

 3年目に通算100勝を達成と聞くと、順調なジョッキー人生のようですが、同期の中でも初勝利は遅い方だったし、あとから入ってきた、たとえば2歳下のカツハル(田中勝春調教師)より、リーディングで下だったこともあります。

 なかなか重賞を勝つことができないとも指摘されました。関西では同期の武豊騎手が3年目でGIを4勝し、リーディングジョッキーになっていたので、置いていかれちゃいけないという思いはありましたが、どうしようもなかった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン