手は口ほどに物を言う? 会見するドジャースの大谷翔平(Sipa USA/時事通信フォト)
お相手に関することでは、何度か顔の左側を触る仕草が見られた。奥様はどんな人かと聞かれ、「日本人の方ですね。いたって普通の人」と左手で左のこめかみを軽くかく。結婚の決め手について問われると、「特にこれというのはない。なんとなく一緒にいるところを想像できた」と、右手で左の鼻の横を触る。デコピンを飼うのは2人で決めたのかという質問には、「いや、僕が勝手にというか」と、右手で左の目元をかいた。この左側というのが実はポイントだ。顔には左右でわずかな差があり、その差は表情にも表れる。心理学の実験によると、表情が強く出るのは左側なのだ。人は自分をポジティブに、より魅力的に見せようとする時、無意識のうちに左側を見せる傾向があるという。だからこそ大谷選手も無意識のうちに顔の左側を触り、マイナス感情をなだめよう、落ち着かせようとしたのかもしれない。奥様のつくる食事で好きな物を聞かれた時は、「まだそこまで食べてない」と右手で左の口元をかいた。食事という質問に食べることが連想され口元に手がいったのではないか。
公表すれば騒ぎになる。それをあえてアナウンスした理由については、「皆さんがうるさいから」と笑いを交えながら、右手で右の頭の後ろを触った。デートについて聞かれた時も、「外出すると皆さんがうるさいので」と笑いながら、頭の後ろを触る。まいった、困った、でも答えないわけにはいかない、この仕草にはそんな感情が入り混じっていたのだろう。なれそめに関する質問には「言えないです。言えなくもないけど」と苦笑い。言える範囲でと突っ込まれると、一瞬、皮肉交じりに右の口角を上げ歪んだ笑みを見せた。
そんな大谷選手だが、子供の話になると姿勢をまっすぐ伸ばし「自分以外のことは、言うと叶わない気がするので、あまり言いたくない」とやや硬い表情を浮かべた。これまで自分の力で夢を実現させてきた大谷選手だけに、どんなことでも叶うという万能感や全能感があるのではないかと思っていたが、それは違った。だがこれも、彼が心から叶えたい夢なのだろう。
これからのシーズン、野球に集中するために自分の気持ちをなだめながら会見に臨んだ大谷選手。その活躍が待ち遠しい。