国内

セクハラとパワハラで辞任した74歳の岐南町長 問題は決して「世代」なんかではない

記者会見で涙を拭う岐阜県岐南町の小島英雄町長。2024年2月28日(時事通信フォト)

記者会見で涙を拭う岐阜県岐南町の小島英雄町長。2024年2月28日(時事通信フォト)

 ハラスメントの問題が浮上すると、それを男女や世代、地域などの社会的な要因からくる受け止め方の差によるものだと結論づける人が多いだろう。だが、本当にそれは問題に関わる人たちの属性の違いが引き起こす摩擦なのだろうか。涙を流して辞任を決めたと会見したことでも話題の岐阜県岐南町の小島英雄町長(74歳)が起こしたセクハラ行為とパワハラ行為の数々をめぐり、世代や時代が違うからという弁明は事実と合っているだろうか。人々の生活と社会の変化を記録する作家の日野百草氏が、時代や世代を理由にしがちなことに対する高齢者の本音と不満を聞き、問題の本質を考える。

 * * *
「年寄りだって他人の頭、まして大人の女性の頭をなでたりなんて普通はしないよ。年齢とか時代じゃなくて、岐阜の町長がおかしいだけだ」

 東京都心、筆者と高齢者の方々の集まり。参加した70代から80代男性の方々から出た声は「普通はしない」だった。

「普通しないよ、高齢男性だからって決めつけられたくない」

 その「普通しない」行為を始めとする行為の数々、いやそれ以上の行為の数々を繰り返していた彼らと同世代、74歳の町長がいた。彼は当初「私らの時代は頑張った子の頭を撫でた」としていた。

 その岐阜県羽島郡岐南町の小島英雄町長(本稿、肩書きは2月29日当時とする)が女性職員ら複数に日常的なセクハラ行為、男女問わずのパワハラ行為を続けていたとされる問題である。

 岐南町は弁護士らによる第三者委員会を立ち上げて全職員(退職者含む)271人(男性134人、女性137人)にヒアリング(回答者205人、男性102人、女性103人)した結果、少なくとも99件のセクハラ行為があったことを認定、そのセクハラ行為の内容の詳細を2月27日、「調査報告書」並びに〈町長による不必要な身体接触・不快な言動の一覧〉というリストとともに公開した。

(※以下、本稿〈〉内はすべて2月27日発表の調査報告書より抜粋)

〈「頭をポンポンと触る」行為が、回数としては最も多く見受けられ、各人において回数の差はあるものの、ヒアリングに応じた女性職員の内22人から不快であるとして、被害申告があった。〉

〈多かったのは、女性職員の手に触れる・触れさせようとする行為であった。手法としては、「手相を見たる」等と言って女性職員に手を出させ触れる、あるいは「俺の手は白いやろ(すべすべやろ)、さわってみ」などと言って手を触らせようとするという方法〉

関連キーワード

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン