初土俵から4年で北青鵬は相撲界を離れることになった(写真/共同通信社)
今年に入って、暴行を受けた力士の関係者が協会に訴えたことで発覚。協会のコンプライアンス委員会は、「(後輩力士たちが)痛がる反応を見ておもしろがっていたとも認められ、卑劣極まりない」と糾弾した。事実上の引退勧告を受けて、今年2月22日、北青鵬は引退届を提出した。
「モンゴル出身の北青鵬は、身長204cmの恵まれた体躯を生かした取組で将来を嘱望されていましたが、“強ければ何をしても許される”という時代ではありません。相撲界が暴力問題を『かわいがり』として黙認してきたのはもう過去のことです」(前出・担当記者)
親方である白鵬は当然、「監督責任」を問われた。
「師匠として暴行を防げなかったことはもちろん、暴行の事実を把握したタイミングで協会側に報告しなかったことなどが問題視されました。宮城野部屋は、親方家族と弟子たちが部屋で同居するという慣習に従わず、別々に暮らしていたことも、暴力行為を助長したとされています。結果、白鵬には、3か月の報酬減額に加えて、親方への懲戒としては、解雇、退職勧告の次に重い処分である『2階級降格』が科されました」(前出・担当記者)
「再就職」にことごとくノー
白鵬は現役時代に3度、協会から処分を受けている。
「2019年の春場所で優勝した際、土俵脇で行われた優勝力士のインタビューで三本締めの音頭を取って観客をあおり、“土俵上の礼儀、作法を欠くなど、相撲道の伝統と秩序を損なう行為”としてけん責処分を受けた。
引退後に、“協会の規則や相撲の習わし、しきたりを守る”といった内容の誓約書に署名して親方になるのを認められた経緯もあり、今回、厳しい処分になりました」(相撲ジャーナリスト)
相撲界に限らず、暴力やハラスメント行為は絶対に許されない。部屋を監督する立場だった白鵬への処分も避けられるものではない。しかし、“処分後”にも白鵬には厳しい仕打ちが待ち受けていた。
「宮城野部屋が消滅する場合、白鵬は一門内の別の“部屋付き親方”にならざるを得ません。そこで白鵬は元関脇で、同じモンゴル出身の先輩力士・旭天鵬(きょくてんほう)が親方の大島部屋への移籍を希望したものの“モンゴル出身者が集まるのはいけない”と協会からNGが出されたといいます。親しい関係にあった元関脇・安美錦(あみにしき)が親方の安治川(あじがわ)部屋も、“安美錦は新米親方だから”という理由で許されなかった。白鵬が希望する“再就職”に、ことごとくノーが突きつけられている形なんです」(前出・相撲ジャーナリスト)