芸能

京都市京セラ美術館の開館90周年記念「村上隆 もののけ 京都」 新作含め約170点で構成される村上ワールドを紹介

《ライオンと村上隆》 (2023-2024)

《ライオンと村上隆》 (2023-2024)(C)2023-2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

 京都市京セラ美術館の開館90周年を記念して開催中の『村上隆 もののけ 京都』。国内で約8年ぶりとなる大規模個展は京都を舞台に新たに描き下ろされた新作も含め約170作品を楽しめます。そんな村上ワールド全開の展示作品を、本展企画者で同美術館・事業企画推進室の高橋信也さんの解説付きでたっぷり紹介します!

 今回の個展は、9割以上が新作および日本では初お目見えとなる作品とあって、ファンならずとも垂涎の内容だ。

「彼が活動初期から関心を寄せる京都を舞台に、日本や江戸美術の傑作を村上流に再解釈した作品ぞろい。見どころしかありません」と話してくれたのは、本展の企画者でもあり、長年にわたり村上氏と親交がある高橋信也さん。

 国内展は今回で最後と噂されるなか、いまこそ見ておきたい村上作品を高橋さんが厳選。楽しみ方やこぼれ話を聞いた。

ナビゲーターは高橋信也さん(京都市京セラ美術館事業企画推進室)

ナビゲーターは高橋信也さん(京都市京セラ美術館事業企画推進室)

会場内も本人がデザイン!

すべてが村上氏のプロデュース

展示風景より《雲竜赤変図《辻惟雄先生に「あなた、たまには自分で描いたらどうなの?」と嫌味を言われて腹が立って自分で描いたバージョン》》(2010)(C)2010 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

「会場内の空間は、壁紙やカーペット、仕切りのカーテンまで、すべてが村上氏のプロデュースによって生まれたもの。本人も語っていたように、“いまの村上隆”が凝縮された、渾身の個展となっています」(高橋さん・以下同)

これぞ後世に残したい超名作!

《金色の空の夏のお花畑》(2023-2024)

《金色の空の夏のお花畑》(2023-2024)(C)2023-2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

「作品にも多く登場するキャラクターの“お花”は、空に向かって真っすぐ伸びる姿が印象的です。ちなみに、一つひとつ目や口、花びらの色が違っているんですよ。もともと違う作品を展示予定でしたが、新作として制作していただきました。結果、最高に素晴らしい作品が生まれました」

あの神様たちもゆるキャラ風(!?)にアップデート

《風神図》《雷神図》(ともに2023-2024)

《風神図》(2023-2024)(C)2023-2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

《雷神図》(2023-2024)

《雷神図》(2023-2024)(C)2023-2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

「風の神・雷の神どちらも、険しい顔つきでも筋肉隆々でもなく、魔物感は皆無です。ただし、台風や雷のメカニズムをよく知っていて能力はぐんと高い。まさにいまどきの神様像といったところ。風神雷神図は100年ごとに名作が誕生していますが、この村上版も間違いなく歴史に名を刻むはずです」

2700以上もの人物が描かれ、見るたびに発見あり

《洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip》(2023-2024)

《洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip》(2023-2024)全長約13m!(C)2023-2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

「京都の街を俯瞰し、にぎわいと死者の存在を対比するように描かれています。岩佐又兵衛作の国宝『洛中洛外図屏風(舟木本)』の約3倍のサイズの超大作で、開幕ギリギリまで制作が続けられていました」

祇園社(現在の八坂神社)での華やかな神事の様子

祇園社(現在の八坂神社)での華やかな神事の様子。随所に村上キャラたちが出没し、遊び心も満載!(C)2023-2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

《お花の親子》が京都に出現! 豪華コラボも

《お花の親子》(2020)

《お花の親子》(2020)(C)2023-2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

 2020年、六本木の展示で話題を集めた彫刻作品が館内の日本庭園に出現。ルイ・ヴィトンとのコラボ仕様にも注目!

「DOB」の進化ぶりも見逃せない!

《レインボー》(2023-2024)

《レインボー》(2023-2024)(C)2023-2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

「DOB」は1993年に誕生し、時代とともに変化と進化を続けるキャラクター。本展でもさまざまな姿を見られるほか、グッズにも数多く登場。

【京都市美術館開館90周年記念展《村上隆もののけ京都》】
会期:2024年9月1日まで
会場:京都市京セラ美術館 東山キューブ(京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124)
開館時間:10:00〜18:00
※最終入場は17:30まで
休館日:月(ただし祝日の場合は開館)
料金:一般2200円/大学・専門学校生1500円/高校生 1000円/中学生以下無料
※京都市内の大学生以下は無料

村上隆氏

村上隆氏

【プロフィール】
村上隆/1962年生まれ。アートの総合商社「カイカイキキ(Kaikai Kiki)」主宰。世界的にもっとも有名な日本人現代アーティストで、オタク文化や日本のサブカルチャーをアートとして世界に広めたことでも知られる。

撮影/杉原照夫

※女性セブン2024年3月28日号

関連記事

トピックス

大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
“進次郎劇場”で自民党への逆風は止まったか
《進次郎劇場で支持率反転》自民党内に高まる「衆参ダブル選挙をやれば勝てる」の声 自民党の参院選情勢調査では与党で61議席、過半数を12議席上回る予測
週刊ポスト
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト