芸能

【TARAKOさん急逝】「似せる」のか「まったく変える」のか…“まる子役”後任選びは難航確実

フジテレビ系アニメ「ちびまる子ちゃん」のエンディングを歌うことが決まり会見に臨むまる子役の声優・TARAKO =東京・九段北【撮影日:2004年06月13日】

まる子と会見に臨むTARAKOさん(写真は2004年6月)

 お茶の間に響く「あたしゃね……」という少しませたような、それでいて憎めない、愛らしさ満点の声。誰もが一度は耳にしたことがある日本一有名な小学3年生の声が、もうすぐ聞けなくなる。「2代目まる子」を巡り、さまざまな思惑が交差して──。

 声優なくしてアニメは語れない。「唯一無二の主人公の声」となればなおさらである。声優のTARAKOさん(享年63)が3月4日に亡くなったことが、9日、明らかになった。

 実に34年という長きにわたり、人気アニメ『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)のまる子役を務めた。

「TARAKOさんが最後に収録したのは“『まる子、水の味がわかる?』の巻”で、3月24日に放送予定です。今後も番組は続きますが、彼女の後任選びは確実に難航するでしょう。そのため当面は過去の作品を再放送するそうです」(テレビ局関係者)

 TARAKOさんの喪失はあまりにも大きい。番組サイドは、悲しみと同時に彼女の後任選びにも奔走しなければならない。それは、これまで長寿アニメを幾度となく悩ませてきた「難題」でもある。

 TARAKOさんは“永遠の小学3年生”のイメージを守るために本名を非公開にし、プライベートも明かさなかった。所属事務所の発表によれば、今年に入って彼女は病と闘いながら仕事を続けていたという。

「入院中も『病棟からでも収録を続けたい』と意欲的で、まる子を演じることへの強い思いが感じられました。一方で、声優には代役がいないため、どんなにつらくても休めないという現実もありました」(前出・テレビ局関係者)

『ちびまる子ちゃん』の放送回数は間もなく1600回を迎える。その間、視聴者はずっと変わらない声を耳にしてきた。

「多くの視聴者にとって、まる子イコールTARAKOさんの独特な声です。それが別人になるのなら、違和感を覚える人も多いでしょう。ましてや国民的アニメですから、後任へのプレッシャーは相当なもの。声優にとって、まる子の声は〝演じ難い〟ものなんです」(前出・テレビ局関係者)

 長寿アニメにおいて、声優交代は試行錯誤が重ねられてきた歴史がある。今年で放送55年目の『サザエさん』(フジテレビ系)では、サザエ役の加藤みどり(84才)を除く磯野家全員の声が変わっている。

「2019年にマスオ役が2代目の増岡弘さん(享年83)から田中秀幸さん(73才)に交代したときは、声のイメージを一新。落ち着いたトーンの声になり、『キャラが違う』『誰かわからなかった』と視聴者から戸惑いの声が相次ぎました」(別のテレビ局関係者)

 2023年2月、タラちゃん役の貴家堂子さん(享年87)が急逝し、愛河里花子(56才)が後を継いだときには、オーディションが開かれ、制作サイドは「そっくりな声」を求めたという。

「愛河さんは貴家さんの声を細かく研究。やがて下顎を引き、舌を口内の天井に当てて発音するとタラちゃんに近づくことに気づいたそうなんです。貴家さんの声と録音した自分の声を聴き比べながら、一音ずつ発音の仕方を見つけ、見事に違和感のない“2代目タラオ”を演じています」(芸能関係者)

 異例の抜擢で成功した例もある。アニメ『ルパン三世』でルパン三世役を務めていた山田康雄さん(享年62)が1995年2月に脳出血で倒れ、意識不明の重体となった。同年4月公開の映画『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』はまだ収録前。急遽、代役に選ばれたのは、ものまねタレントの栗田貫一(66才)だった。

「ルパンのものまねがうまいことで知られていた栗田さんですが、声優はやったことがなく、不安を抱えながらの演技でした。この作品限りのはずが、意識不明だった山田さんが映画公開直前に他界し、彼の遺志を継ぐという思いで現在までルパン役を続けています。ただ、何年経ってもベースにあるのは山田さんのルパン。『不~二子ちゃ~ん』のイントネーションは山田さんの言い方をそっくりそのまま、まねしているとか」(前出・芸能関係者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・イメージ 写真はいずれも当該の店舗、販売されている味噌汁ではありません)
《「すき家」ネズミ混入味噌汁その後》「また同じようなトラブルが起きるのでは…」と現役クルーが懸念する理由 広報担当者は「売上は前年を上回る水準で推移」と回答
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン