私はこの作品で趣里ちゃんと出会えたことで、自分のお芝居をもう一度見直そうと思いました。たとえば座った状態で台本を読み合わせる「本読み」のやり方は人それぞれで、感情をセーブして本番で一気にスイッチが入る役者さんもいますが、趣里ちゃんは本読みから本気モードのお芝居をするんです。
その後のドライ(カメラなしのリハーサル)やテストでも本番と同じように全力で演じるので、周りにもその熱量が伝染するし、スキのないお芝居につながる気がしました。私は器用に感情のスイッチを切り替えられるタイプではないので、趣里ちゃんの真似をしてリハーサルの段階から感情に蓋をせず本気でやろうと思いました。
『ブギウギ』は“男役”だったり、所作や声のトーンなどで悩むことも多かったけれど、まっすぐで人間味があって多くの方々に愛していただいた秋山を演じることができて幸せでした。
【プロフィール】
伊原六花(いはら・りっか)/1999年生まれ、大阪府出身。2018年にTBS『チア☆ダン』にて女優デビュー。NHK連続テレビ小説『なつぞら』などに出演。4月期の『肝臓を奪われた妻』(日本テレビ系)で地上波連続ドラマ初主演。
※週刊ポスト2024年4月5日号