「オープンな気持ちで楽しんだ」外国人も
初嫁さんではないものの、ほだれ様に友人らと一緒に乗り合わせた3人組にも話を聞いた。新潟県胎内市で小学校教師をしているという渡辺渚さん(26歳)は言う。
「最初は恥ずかしかったですけど、ご利益がありそうだと思って。上からの眺めは最高でした。司会者の方が『正常位で乗ってくださいね』って言ってて大爆笑でした。コンプラとかハラスメントだなんだってうるさい世の中ですけど、こういうお祭りで発散しないと、やってられないですよね」
一緒に乗り合わせたアービー(24歳)とケイリー(27歳)も同じく小学校で英語教師をしているという。二人とも「オープンな気持ちで楽しんだ!」とのことだった。
また、バナナと大根をほだれ様に奉納しようと一人で佇んでいた男性の姿もあった。富山県黒部市から来たという増田さん(40歳)に話を聞くと、恥ずかしそうにこう答えた。
「このお祭りのことをネットで知りました。実は恥ずかしながら彼女いない歴40年でして、このお祭りに来たら結婚願望が成就するかなと思って来ました。料理が美味くて可愛らしくて、家に帰りたいと思わせてくれる人と結婚したい。そんな女性に僕は尽くしたいし、そういう人のためにも仕事も頑張りたいし、日々の楽しさや苦しみさえも共有したいと思います」
日本には8万以上の神社それぞれに季節ごとの祭りがあり、年間で約30万もの祭りが行われているという。この越後の奇祭もそのひとつだが、その運営は自治体による持ち出しで、資金不足や担い手不足などの要因でギリギリのところで存続している。前出の星野さんは言う。
「多い時では2000人以上の観光客が訪れたこの祭りですが、実行委員会のメンバーの平均年齢は今や60代と70代が中心で、あと何年続けられるのかそれが今の課題です。俺らで始めたことだから、俺らの手でなんとか続けていきたいけど、実際はそうもいかない。なんとか市を巻き込んだりして継続していきたいと思ってます」
春の雪が舞う中で行われた越後の奇祭ほだれ祭りには、なんとも言えない熱気と精気に満ちていた。できることなら今後も続けてほしいものだ。