初嫁は感激「セクハラなどとは次元が違う」
3月10日、時刻は10時すぎ。春の雪が舞い降りるなか、会場に500人以上の人が集まる。ほら貝と太鼓の音が鳴り響く中で、ほだれ祭が始まった。毎年、高さ2.2m、重さ約600kgの御神体のほだれ様を担いでいたが、4年ぶりとなる今年は担ぎ手も減ったことから300kgほどの「弟分」の御神体を担ぐことになったという。
今年の初嫁は、新潟県見附市から来た岡真奈美さん(30)と茨城県鉾田市から来た古谷香織さん(41)の2名だ。宮司による厄払いや子宝・安産祈願の神事が行われ、初嫁二人による鏡開きをすると、会場内は拍手喝采に。
12時を回った頃、巨大なほだれ様を神輿に移して初嫁を乗せた。実行委員会の司会者が「みなさん、一緒に、掛け声は“しようや〜!”でお願いします」と声をかける。「しようや!」とは、「(性交渉を)しようや!」という意味だと村人が嬉しそうに話す。神輿が上下に動きながら周囲を練り歩くと、初嫁は「キャー」と嬉しそうに驚いた声を上げる。観客に手を振りながら、周囲は歓喜の声に包まれた。
祭りでは初嫁以外にも、ほだれ様に乗ってみたいという希望者の女性を担ぐ場面もあり、日本人女性だけでなく外国人女性も乗った。合計で10人の女性が「ほだれ様」にまたがり担がれた。
祭りの後、初嫁さん二人に話を聞いた。地元・新潟県見附市からきた岡さんは「以前からこのお祭りのことは知ってて、ほだれ様の上に乗るのが夢だったんです」と言う。
「ハタチくらいに見に来てて、後に結婚することになったら乗りたいなあと思っていました。去年8月に入籍して来月式を上げるんですが、今回は4年ぶりの開催だと知ってすぐさま応募しました。このお祭りは土着の信仰。セクハラなどというのとは次元が違うと思います」
また、茨城県鉾田市からきた古谷さんは「実は日本の奇祭が好きで、関東近県の奇祭巡りをしてたんです。ほだれ祭は中でも注目してた祭りでした」と笑う。
「実は長らく同棲してた相手と昨年入籍したんです。すぐにほだれ祭のことを調べたら、コロナ禍で中止されていたけど今年復活すると知って、『ほだれ様に乗れる』と分かった時は嬉しかったですね。夫は今日は仕事で来られなかったので、私一人でやってきました。衣装は戦前の花嫁衣装をイメージし髪も着付けも全部自分でやりました。元気な赤ちゃんを産みたいです」