古い時代に地元意識はあるけれど、新しい世代が絶対正しい

 同作のキャッチコピーは「〈何を考えているのかわからない〉Z世代の取扱説明書」。価値観が目まぐるしく変化し、何かと“不適切”だと吊し上げられる大人世代は、彼らにどう向き合っていったらいいのだろうか?

「スーパーやコンビニのビニール袋が有料になってずいぶんたちますが、袋をもらうと『SDGsに反する、環境に悪い』って怒る人、いますよね。正直、そう言われるとムッとはしますけど、地球環境のためには正しいんですよね。

 Z世代の彼らが定時で帰って残業しないことや、自分なりの働き方を重視するのも同じで、人間の当然の権利として正しいことなんですよ。だけど自分たちは若い頃もっと働いたし、働くからこそ会社が回って来たんだぞっていうモヤモヤした気持ちにもなる。

 これはきっと僕らが生まれ育った場所だけじゃなくて、生まれ育った時代にも“地元意識”に近い感情を持っているからだと思うんです。新しい世代の意見ややり方が正しいと頭では分かっているけれど、自分たちの生きてきた時代を否定されたらやっぱりさみしい。

 だけど、それでも僕は新しい世代の価値観の方が絶対に正しいと思う。僕らが間違ったことをしたから人々の意識や法律がどんどん改善されてきたわけなので。むしろ彼らには僕らが生きて来た平成とか、あるいはご先祖の昭和の過ちをどんどん正していってほしい。

 だから、これから必要なことは世代を分断することじゃなくて、自分達が生きてきた時代の失敗を素直に認めて、後世に共有して行くことだと思う。もちろん同世代でも、同じコミュニティ同士でもすれ違いは存在する。お互いの違いや弱さを出し合って認め合えるのが理想です。

『麻布競馬場はありもしない悪感情を書いて分断を煽っている』と批判されることが多いけれど、他人を羨んだり攻撃したくなったりしてしまうネガティブな感情は誰にでもあるはずだし、僕自身がそういう自分のみっともなさに一生懸命向き合って生きてきたので、なかったことにしたくない。弱さを認めて向き合いつつ、みんなで効率よく幸せになっていくことを目指していきませんか、というのが僕の伝えたいメッセージですね」

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